第11章 愛し方の答え
前のトラウマを少し克服し、が備品室に補充された物資の段ボールをあげようと、大きく息を吐いた瞬間——
?「危ない!」
ガタン、と音がして振り返ると、積まれていた段ボールの一部が崩れかけていた。
バランスを崩したを、誰かの腕が支える。
しっかりとした腕が、肩をぐっと引き寄せる。
背中に、心臓の音が重なったような錯覚。
振り向くと、國神が真剣な顔でこちらを見ていた。
國「……大丈夫か?」
「あ……うん」
声が近い。距離も近い。
目が合って、思わず頷くだけになった。
國神は腕を離して、少しだけ息をついた。
その手はまだ、少し震えていた。
國「……悪い。ちゃんと見てなかった」
「國神くんが庇ってくれたんだから、私のほうこそ……どうしてここに…?」
國「備品室に行くの見えたから、また…前みたいになったら泣くんじゃないかって…思って…」
「國神くん…」
ありがとう、そう言いかけたとき、國神がぽつりと呟いた。
國「……俺、たぶん、ずっと勘違いしてた」
が顔を上げると、國神はまっすぐな目でこちらを見ていた。
國「お前を守らなきゃ、ってずっと思ってたんだ。……黒田さんのことがあったから、って。…でも……違った」
は無言で続きを待った。