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奪い合う光の中で【ブルーロック】

第11章 愛し方の答え


食堂の隅、遅めの昼食を取っていたは、トレイを片手に笑っていた。
向かいには、別の班の男子。たまたま居合わせて、くだらない話で笑い合っていただけ——のはずだった。

少年A「へえ、ってそういうタイプなんだ」

「ち、違うよ…!?」

そんなやり取りが、少し離れた位置のソファにまで届いていた。
そこにぐてーっと倒れていた凪は、半分眠そうな目を開ける。

凪(……なんか、うるさい)

視線を向けると、が誰かと笑っているのが見えた。
それだけで、胸の奥がちょっとだけムズムズする。 

凪(……なんだろ。別に気にすることじゃないのに)

けれど、目が離せなかった。


やがて会話を終えたが近づいてくる。

「凪くん、まだいたんだ」

凪「んー……暇」 

ぽふ、とが隣に座る。自然と肩が触れた。
凪はいつものように、の髪に指を伸ばす。 

凪「さっき、誰と話してたの」 

「え? ああ……向こうの班の子だよ。偶然会って」 

凪「ふーん……」 

凪の指がの髪をくしゃりと揉む。
ゆるい仕草なのに、なぜか少しだけ、意識の端がざらついていた。

 

凪「別に……誰と話してようがいいけどさ…。なんかちょっとおもしろくないなーって、思っただけ」 

 

が息を止めたのは、その瞬間だった。 

いつも通りの無気力なトーン。だけど、目だけがまっすぐだった。

髪をいじる指も止まって、目だけがこちらを見ている。
見つめられて、何かが胸を突いた。

(……なに、今の顔…。いつもの凪くんじゃない……) 

凪「今日、俺のこと見てた?」

「……あんま見てなかった」 

凪「ふーん、じゃあ今は」 

「……見てる」 

さらりと返されたその一言に、心臓が跳ねる音が、自分でも聞こえそうだった。

凪「…じゃあ満足」 

凪(誰と話してるかなんて、どうでもいいって思ってた…。…けど、俺の知らない顔してんの、ちょっとやだなって思ったんだ。なんなんだろう…この感じ)
 
ふたりの影がソファの上で重なっていた。
何も特別なことはない——けど、
触れた肩先から、胸の奥まで、確かに温度が伝わっていた。
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