第10章 本当の居場所
その顔には、気まずさと迷い、そして強く結ばれた決意が見える。
「……アンリさん……?」
アンリは小さく頷いた。
ア「少しだけ……話せるかな。ちゃんに、ちゃんと伝えておきたいことがあるの」
その言葉に、潔は一瞬だけと目を合わせてから、席を外そうと動きかける。
だが――
ア「潔くんも……いてくれて構わないよ。むしろ、聞いててほしい。これは、私の責任だから」
潔は動きを止め、ゆっくりと頷いた。
潔「……わかりました」
ふたりに背を向ける形で少しだけ距離をとるが、その場に残る。
アンリは深く息を吸い込むと、静かにの方へ向き直った。
ア「……さん、ごめんなさい。本当に、……ごめんなさい」
深々と頭を下げたアンリに、は一瞬、息を呑んだ。
「……え?……あ、あの……どうして……?」
視線が泳ぎ、戸惑ったようにアンリの前に立つと、慌てたように手を伸ばす。
「頭、あげてください…そんな……私、別に……」