第9章 監獄の鍵を開く時
千切がに駆け寄り、その肩を支える。
はまだ震えていた。目はうつろで、唇がわずかに震えている。
潔「さん……っ、大丈夫、もう大丈夫だから」
國「お前、どこまでやる気だ……」
その声に、優人がかすかに目を細めた。
優「……ふぅ。ほんと、邪魔ばっか」
乾いた笑いとともに、國神の腕を振り払うと、ゆっくりとの肩へと手を伸ばそうとする。
優「でもさ、君たち、のこと、何も知らないでしょ。――こんな風に」
言い終えると同時に、優人はを千切から奪い返し、無理やり顔を近づけその唇を奪った。
の目からは涙が溢れ出し、みんなはあまりに自分勝手な優人の行動に唖然とした。
優「キスした時の表情も…」
「やめて…」
優「…抱いた時にどんな表情をして、よがるかも」
優人はニヤリと笑った。
「やめて…!それ以上はもう…」
は泣き崩れた。
優「ねぇ、本当にこんな何も知らない奴らのところに行って大丈夫?俺だったら…」
「ひっく…ぐすっ…それでもいい…もう…終わりがいい…。みんなとがいい…」
凪が目を細め、静かに口を開いた。
凪「……今の、聞いたよね。もう十分だよ。偉いね、頑張ったよ、おいで」
凪が自分たちの方にを寄せた。
潔と國神、千切も同時に前へ出る。
優人を囲むように、と距離を取らせる。