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奪い合う光の中で【ブルーロック】

第2章 新マネ登場


声がして振り向くと、凪誠士郎が廊下の壁に寄りかかっていた。
白いTシャツの裾をくいと引っ張りながら、けだるげな目でこちらを見ている。

「え、えっと……午後の練習に備えて、ドリンクの補充です」

凪「ふーん。大変だねぇ、そーいうの」

「……え、あ、いや……何かご用でしょうか…?」

凪「いや、別に。見てただけ。……でもなんか、面倒そうだし。持ってってあげる、それ」

ずい、とカートの取っ手を奪い取るように持ち上げる。

「え?あっ、でも――」

凪「動かないでしょ、これ。オレ、こんなでも一応力持ちだから。ね?」

片手でカートを押しながら、片手はポケットに突っ込んだままの凪。
“面倒くさい”と言いながらも、やるときはやる、そんな彼の気まぐれな優しさには少しだけ驚いた。

「……ありがとうございます」

凪「どーいたしまして。ついでだから、サボりつつ行く」
 
そう言って凪が歩き出し、はポカンと一瞬その背中を見つめた。
しかし、慌ててその隣に追いつきそのまま一緒にトレーニングルームへ向かって歩き出したときだった。
後ろから軽快な足音が聞こえる。

?「おーい凪、サボってねぇでちゃんと……あれ、新しいマネ?」

その声と共に、鮮やかな赤髪が視界に飛び込んでくる。
やってきたのは爽やかさと勢いを持ったような少年、千切豹馬だった。

「あ……は、はじめまして。マネージャーのです」

千「へぇ……そうなんだ。さっきのやつか」

千切はの顔をじっと見て、それから小さく笑った。

千「……なんか、見た目と違って、ちゃんとやる子なんだね」

「え、ちょ、どういう意味ですか……?」

凪「褒めてるんだって、お嬢ってそういう言い方するから」

凪がめんどくさそうに口を挟む。
さなの顔が、ほんの少し赤くなった。

千「ま、困ったことがあったら俺にも言って。凪だけじゃ、頼りないだろうし」

凪「…」

軽口を叩きながら、ふたりの選手に囲まれた形でトレーニングルームへ入っていく。
その姿は、まるで自然にチームの一員へと馴染んでいくようだった。
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