第8章 甘い拘束
それから数日。
この日も、いつものように“優人の時間”が終わったあとだった。
優「……最近、また冷たいよね」
ベッドの上で、の髪をなでながら、優人がぽつりと呟いた。
「……そんなこと、ないよ」
優「嘘。俺はわかるよ、全部」
目を合わせられなかった。
いつのまにかそうなっていた。
目が合えば、怖くて、痛くなるから。
優人はゆっくりと体を起こし、の首筋に唇を落とした。
最初は優しかった。けど、そのまま執拗に、まるで「跡をつけること」だけが目的かのように、吸いついてきた。
「……っ、やめて、そんな強くしないで……」
言葉は聞こえていなかったのか、あるいは――無視されたのか。
押さえつけられた肩に、強い指の跡が残った。
あとで鏡を見たとき、赤黒いあざになっていた。
痛みは、意外とすぐには来なかった。ただ、じんじんと熱を持っていた。
優「……、俺から逃げられないようにしないと、すぐどっか行こうとする」
「……そんなこと、しないよ」
優「でも、みんなのとこ行くでしょ?潔とか凪とか。あいつらのとこに行くたびに、俺以外のことを考えるたびに……こうなる」
そう言ってまた、首筋にキスを落とす。
今度はもっと深く、乱暴に。
は声を上げなかった。上げられなかった。
(抵抗したら、もっと悪くなる)
それを、身体がもう覚えてしまっていた。