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奪い合う光の中で【ブルーロック】

第7章 沈黙の証言


そのやりとりを、ほんの少し離れた場所で見ていた人物がいた。

凪だった。

柱の影から覗いていた凪は、ゆるい顔のまま、目だけを細めていた。
無関心を装っていても、あの距離感は明らかに普通じゃなかった。

凪「……部屋、行くって?」

小さく呟いたその声には、ほんの僅かに、冷たさが混じっていた。


凪が共有スペースに行くと、ソファにいつもの顔ぶれが集まっていた。

潔と千切、國神。
そこへ、飲みかけの水を手に凪がふらりと現れる。

凪「ねえ、ちょっといい?」

珍しく凪の声に緊張が含まれていた。
三人が自然と姿勢を正す。

潔「どうした?」

凪「さっき、が黒田さんに“部屋行っていい?”って言われてるの見た。……普通じゃなかったよ、あの距離」

千「……部屋?」

凪「うん。“いろいろ気になってる”って。、完全に固まってたよ」

國「……見られてまずいことだから、廊下でやるんだな。コソコソと」

潔は唇を噛み、テーブルに拳を軽く打ちつけた。

潔「マジかよ……」

凪「、断ろうとしてた。でも、押し切られてた。たぶん、今日の夜、来るよ。部屋に」

重い沈黙が落ちた。
誰も、軽い言葉で流せなかった。

千「……これってもう、“まだ終わってない”とかいうレベルじゃないだろ。支配しに来てる」

國「“関係をやり直す”ってより、“戻す”つもりなんだな。の意思関係なく」

潔「何があったか詳しくは知らないけど……元恋人とかそういう言葉で済ませちゃダメなやつだろ、これは」

凪「うん。あの空気、完全に“逃がさない”って感じだった。……ちょっと怖かった」

潔「……今夜、の部屋の近くで見張る。もし黒田さんが本当に来るなら、止める。絶対に」

國「俺も行く」

千「行く。俺たちが黙ってたせいで、が何かされたら、後悔してもしきれない」

凪は一拍置いてから、ぽつりと呟く。

凪「……オレ、あんな目、もう見たくない」

潔「決まりだな。今日、止める」

皆の目が、強く決意に満ちていた。

その夜、彼らは静かに動き出す。
の部屋の前、廊下の暗がりで、目を光らせながら――
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