第7章 沈黙の証言
そしてその夜、共有スペース。
凪がダラリとソファに寝転びながら、ぽつりと漏らした。
凪「……黒田さん、今日ちょっと怖かったね」
千切「何かあったの?」
凪「いや、何も。でも……國神が呼んだ時、なんか、睨んでた」
潔「……睨んでた?」
凪「うん。一瞬だけ。目が合ってさ、俺のことじゃないとは思うけど……なんか、無理して笑ってた」
千「やっぱ、警戒されてる……?」
潔「だろうな。俺たちが“気づいてる”ってこと、もう分かってると思う」
國「……今までは“いい人”を演じてた。でも、こっちが見てるって分かったら、変わるかもしれない。――焦ってる証拠だ」
千「、大丈夫かな。何かされたり……」
凪「……されそうになっても、俺らが止める。そうでしょ?」
潔「ああ。俺たちが“見てる”ってこと、忘れさせないようにしよう」
國「そして、もし何かあれば――俺たちで止める」
は何も言っていない。
それでも、その沈黙は、十分な“証言”だった。
そして――その沈黙に気づいた者たちは、今、静かに立ち上がろうとしていた。