第23章 ズルイヒト♭⑤
このままでは、色々、ダメだ。
自身の熱をシャワーの水で冷まして、ついでにお風呂一緒に入る?の願望も叶えちゃおうと愛梨ちゃんを布団まで迎えに行った。
どうせすぐ戻ると思って濡れたままの行動だったが、愛梨ちゃんには風邪ひいちゃう....!と案の定心配された。
そんなのお構い無しに、彼女を抱き上げれば冷たさに驚かれたけど、裸を恥ずかしがる愛梨ちゃんに、今更でしょ~と軽口を叩いていつもの調子が出るようにしておく。
一緒にシャワーを浴びて、少し溢れてしまった湯船のお湯が流れる音を聞きながら、ずっと恥ずかしがって、背中しか見せてくれない愛梨ちゃんを、抱きしめた。
「.....身体、平気?」
「え、あ、う、うん...す、少し、違和感はあるけど....」
「.....ごめんね」
僕の腕の中にすっぽり収まるキミに、甘えてばかりでため息が付く。
そしたら愛梨ちゃんは、クルッと向きを変えて、僕の頭を抱きしめたから、予想しなかった動きに、思わず滑りそうになって驚いた。
なんとか姿勢を保ったは良いものの、愛梨ちゃんの良いものが目の前に押し付けられては、動揺せざるを得ない。愛梨ちゃん??と、ちょっと焦って声をかけたら、嶺二くん!!!と、普段より力強い君の声に、かしこまって返事をしてしまう。
だけど、僕以上に、かしこまって言葉を紡いでくれる愛梨ちゃんに、すっかり落ち着いてしまった。
「....だから、そ、そのままの嶺二くんで、そ、傍にいて欲しい......です」
君は、いつも僕を、まっすぐ、見つめてくれる。
口下手だと言っていた君の言葉は余りにも優しくて、その瞳に縋ってしまう。ふっと、目を瞑って、湯船に潜り込む。髪をかきあげて、視界をクリアにしてから、愛梨ちゃんにお風呂を出ようと声をかけて、部屋に戻る。
新しいタオルとシャツを手渡して、髪を拭きながら向かい合って座る。
情けない話、あんなことしといて告白なんてしたら、言い訳に聞こえるかもしれなくて、単語は伏せて気持ちを伝える。
それでも君は、どこまでも暖かくて、僕に必要な、言葉をくれる。
僕のダメなとこ、全部引き受けてくれるんだね。