第23章 ズルイヒト♭⑤
寝てる時に出来なかった唇へのキスに、真っ赤になった愛梨ちゃんをみてご満悦の僕。
彼女がシャワーを浴びてる間に朝ごはんの準備をして、鼻歌混じりで一緒に学院へ向かう。
昨日と打って変わって天気も良いし、手を繋いで研究室へ向かえば、心友の後ろ姿。アイアーイ!と、彼が振り向けば、ふむ。と首を傾げていたけど、元気そうだね、と言われたから、アイアイの手も繋ごうと求めたら、躱されちゃった。
先を行くアイアイに追いつく為に、愛梨ちゃんを引っ張って小走りする。研究室に着くまで、君の手を掴んだまま歩けば、周りの視線を感じる。
いいんだ、見せつけてるつもりだから。
ニコニコ笑顔のまま、研究室へ着けば、僕だけ教授に呼び出された。
アイアイと愛梨ちゃんに、またねと声をかけて、手伝いへ向かう。
彼女の特別になれた気がして、今なら無理難題だってなんでも来い!と浮かれていたんだ。
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「えーーーん!愛梨ちゃんと一緒に居たいのにー!」
「し、仕方ないよ、グループが違うんだし」
僕ちんもそっちが良かったぁ。と、研究グループが変わってしまったことを嘆きながら、アイアイの白い目を受けて、アイアイと愛梨ちゃんが同じグループなのを羨む。
なんだかんだで、2人は一緒のグループなのが多い気がする。
僕が意識しすぎなのかもしれないけども。
「ほらレイジ。グループの人と飲み会なんでしょ?さっさと行きなよ」
「愛梨ちゃーん、アイアイが冷たいー!」
待たせちゃダメでしょ、とアイアイに足蹴にされた。
だって君たちもこれからグループ飲み会なの知ってるんだから。
はーい...と、渋々動き出すが、ふと思いついた。
「愛梨ちゃん、僕のプレゼントって持ってる?」
「え、あ、い、一応、持ち歩いてはいるんだけど...」
「今出せる?」
そう聞くと、愛梨ちゃんは鞄にしまって置いたリングを取り出す。そのまま彼女の手をとって、君の小指にはめる。
予行練習じゃないけど、指に光る僕の贈り物の姿に満足して、ついでにその手に口付けて、またねー!と、2人に手を振る。
ついでにアイアイに用心棒のお願い連絡しておく。
僕のだよって、伝わればいいと思いながら。