第23章 ズルイヒト♭⑤
次から次へと、僕を甘やかす言葉が出てくる。
愛梨ちゃんの必死な姿が、僕には眩しくて、胸の中が熱い。ついでに、顔も熱い。これ以上聞いたら溶けちゃいそう。
思わず、君の言葉を手で遮って、モゴモゴしている愛梨ちゃん。
いっそ、好きだと言われた方が、良かったかもしれない。
君の気持ちを確かめた訳でもないのに、愛してますって、言われた気分。どうしよう、ほんとに。
変なこと言ってごめんって言われたけれど、僕からしたら、ただのプロポーズの言葉だ。流石に早とちりも良いとこだけど、一緒にいても良いか聞いたら、嬉しそうなキミの顔を見て、ぎゅっと抱きしめた。
視線が交わって、顔を近づけた瞬間。
ぐぅきゅるるる
・・・僕ではないお腹から、間抜けで可愛い音がした。
今度はキミの顔のが赤くなる。決して愛梨ちゃんのせいじゃないんだけど、いつも僕のツボをついてくるから、笑顔が止まらない。
気が抜けてしまった。お腹の音まで僕を甘やかすんだから、今度は君を満たせるように、一緒にご飯食べよう。冷蔵庫の中身を思い出して、出来そうな料理を考えれば、頭に浮かんだのはぶっきらぼうな彼の、得意料理。
それが好きかどうか愛梨ちゃんに、聞いたら、好きだよって返ってきた。
伝えたいのも、聞きたいのも、違う意味の好きだけど、今はこれで良い。
君がくれた言葉が、僕の一番柔らかいところを抱きしめてくれてるから。
浮かれた気分で料理を終えて、愛梨ちゃんの気持ちをケチャップで描いておく。ちょっと引きつったような愛梨ちゃんだったけど、僕へのハートを強請れば彼女も添えてくれた。愛梨ちゃんが描いてくれた猫ちゃ....犬を口に運べば、いつもより美味しく感じる。
それは、目の前で美味しそうに食べてくれてる、君のお陰なんだろう。
片付けも終えて、君は乾燥機を気にしていたけれど、帰すつもりなんてない。
今日は、君を抱きしめて眠りたい。だめ?
なんて伝えたら、顔を真っ赤にして僕の腕の中に来てくれた。
ニヤける顔は止められなくて、君の香りと僕の匂いが混じって、浮かれた僕はのぼせてしまう。
また、熱がこもってきた。