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ズルイヒト《寿嶺二》

第20章 ズルイヒト♭③



「でも寝てばっかりで飽きちゃったよ~!あ、ランラン、添い寝してくれる?」
「くだらねぇこと言ってんじゃねぇ。腹減ったらあそこの粥食って、水飲んで寝ろ」


イケズゥ!とやり取りしながら、鍵、ポスト入れとくぞ、はーい、ありがとね、と、今度こそ帰ろうとしたランランに手を振る。そしたら、玄関先がなにやら騒がしい。あまり聞き取れないが、誰か来たのだろうか。
お正月から、誰かに会う予定なんて無かったはずだけど、なんだろうと思って声をかけたら、ランランが戻ってきた。




「藍から見舞いだ」その言葉に、そういえばなんか連絡来てたなぁと思って、携帯を見るために起き上がった所で、ランランの後ろに誰かいるのに気がついた。



こ、こんにちは...と、それはそれは気まずそうにしている愛梨ちゃん。

え、夢じゃないよね??
なんで愛梨ちゃんがここに?

混乱してたら、ランランが愛梨ちゃんを座らせてくれる。


「あー、なんだ。こいつ、さっき熱下がったばっかだから、無理させないよう見張っとけ。」
「え、あ、はい....」
「もう大丈夫だってば!心配性なんだから~!」
「真夜中に『助けて☆』って連絡してくる奴の言うことなんざ、信用ならねぇ」


えーん、こんなかっこ悪いところを見られたくないよー、と内心半べそだが、ランランの顔と言葉に自業自得の文字をみて、大人しくしておく。
今度こそ帰っていったランランにより、ここには愛梨ちゃんと僕の2人きり。


観覧車とは訳が違う、自室に気になる子と2人きりなんて、成人向け小説ならコトが始まってしまうよ!?と焦りと喜びが隠せないが、あの日がきっかけで風邪をひいてしまったのは明確なので、恥ずかしいったらありゃしない。



「何か手伝えることあるかな?」
「あー...じゃあ、薬飲むから、台所にあるお粥、持ってきて貰っても良い?」
「うん、ちょっとお邪魔するね」



パタパタと、キッチンへ向かう愛梨ちゃん。
冷蔵庫を開ける音や、お粥を温めるコンロの音と匂い、そこに誰かがいるのを感じると、安心する。ランランの手作りなのはそれはそれで嬉しいが、愛梨ちゃんの手作りも、いつか食べてみたい。




奥さんいたらこんな感じかなぁ。




そんな考えを抱いてるなんて、キミは知っているだろうか。
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