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ズルイヒト《寿嶺二》

第20章 ズルイヒト♭③





食って寝ろ。そう言われて、無理やりコンビニの肉まんを咥えさせられそうになったけど、こちとら病人の為、ホカホカ肉まんくんは、ランランのお腹に入って貰った。

買ってきて貰ったヨーグルトを口にして、風邪薬を飲む。ランランは用事があるとかで、またお昼に来てくれるって。
面倒見が良い彼の事だ、大丈夫だよ~って言っても、どうせ来ちゃうだろうから、大人しく鍵を渡してお願いしとこう。


ランランが出てって、また一人になる。


普段ならこの静けさも気にならないけど、やっぱり弱ってると心細くなってしまう。存外、僕は寂しがり屋なのだ。布団に入って、携帯を見る。


愛梨ちゃんからの連絡は無い。


僕から話題を振るのがほとんどだから、彼女から連絡がくることは滅多に無い。分かっていた事なのに、思わずポーンと携帯を投げ捨てて、そのままウトウトしていたら、着信音が鳴って、慌ててまた手繰り寄せる。
宛名はアイアイの名前。珍しい人の名前だったが、目的の名前じゃ無かったことで、文面を開くこともせず、そのまま眠りに落ちた。

















ガチャンと、鍵が開く音で目が覚めた。

あ?起きてやがったか。と馴染みのある声の方を見れば、その手には可愛らしい星柄のエコバック。何処かで見た事あるなぁと考えていたら、思い出した。
僕が大学生の頃のサークルのものだ。そうか、ランランは後輩ちゃんといたのか。デートの邪魔しちゃったみたいで悪いなぁと考えていたら、頭を叩かれた。


「ランラーン、僕、一応病人なんだけど~?」
「考えてること丸わかりなんだよ。テメーはとっとと治しやがれ」

お大事に、だとよ。



そうだ、ランランの彼女さんは、僕のサークルの後輩ちゃん。いわゆる、僕が2人のキューピットなんだけど、彼女は竹を割ったような性格と言うか、僕より年下なのにしっかりしてる姉御肌。


何だかんだで世話焼きな2人は、上手くやっているようで良かったなぁ。


キッチン使うぞ、と電子レンジの音やたまごを割る音が聞こえる。その間に熱を計れば、朝に比べて大分下がったし、幾分、身体も楽になった気がして、汗をかいたシャツを着替える。
台所から戻ってきたランランに、感謝を述べて、熱が下がったからもう大丈夫と動き出そうとしたら、テメェの大丈夫は信用ならねぇから寝てろと押し戻された。

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