第20章 ズルイヒト♭③
やっぱりバチが当たったのかもしれない
あの夜、いつもより嬉しそうに話す愛梨ちゃんの笑顔がキラキラして、イルミネーションの力だけでない何かに、僕は離れ難くなってたんだ。
プレゼントにかこつけて、優しいキミにキスをした。
戸惑いながらも、僕のエゴを何度も受け入れてくれるキミに、どんどんキスが深くなる。呼吸困難で流石に倒れちゃいそうな愛梨ちゃんを支えた所で、これ以上はマズイなと、ギュッと抱きしめた後、帰ろっか、とカイロの暖かさが薄らぐ頃、愛梨ちゃんとバイバイをした。
それで、寝て起きたら異変に気がついた。
初めはキスの余韻かと思っていたけど、一晩明けたら身体が怠い。
うーん、これはヤバいやつだ。
運悪く、年末ギリギリまでやらなきゃいけないことがあって、重たい身体を引きずって、頑張っていたら、大晦日には中々な高熱で動けなくなってしまった。
グループメンバーのやり取りに「良いお年を」の連絡が来たことで、『熱出しちゃった、てへぺろ』って送ったら、皆から可哀想な年越しをするやつのレッテルを貼られた。
『レイジ、今年は一人なんでしょ?大丈夫?』
『早く回復してそのマヌケ面を晒すんだな』
『野垂れ死ぬんじゃねぇぞ』
呆れながらも心配してくれるアイアイに、彼なりに励ましてくれるミューちゃんと、個人連絡がきて、明日お見舞いに来てくれることになったランラン。
ちょっと元気が出た所で、テレビはカウントダウンを始めている。
ハッピーニューイヤー!とテレビが叫んだところで、愛梨ちゃんにあけおめ連絡。そしたら、直ぐに返事は来た。ありきたりな定型文だけど、嶺二くんと居られて良かった、そんな言葉に、今すぐにでも会いたい気持ちが出てきちゃった。
熱で弱気になってるんだろうな。
朝にはランランが来てくれるから、早く寝ちゃおう。布団に潜りこんで、瞼を閉じる。せめて夢で会えないかな。そしたら、寂しくないのに。
残念ながら、夢も見られずに寝苦しい夜になったけれど、気がつけば太陽が出ていて、インターホンの音が鳴る。かなりの早朝だが、ランランだろうなと、ノロノロ身体を起こして扉を開けに行く。
開口1番、あけましておめでとう風邪野郎、に吹いてしまったけど、彼なりの僕の元気確認だろうから、嬉しいものだ。