第19章 ズルイヒト♭②
驚いた。まるで、考えてることを見透かされたような気がして。
「うん、僕も、そう言おうと思ってた」
嬉しくて、笑顔が零れる。安心した様子の彼女に、同じように感じてくれてたのかなと思った。旅行先の話をしながら、車を走らせる。まだ、止まらなくても良いみたいだ。
無事に愛梨ちゃんの家まで着いた。
このまま別れるのが名残惜しくて、キミの手に触れる。
もっと僕のことを考えて欲しくて、指を絡めて唇で触れたら、顔を真っ赤にさせて口を開けていた。
余りにも可愛くて、持ち帰りたくなっちゃったけど、流石にぐっと我慢する。意識して貰うには充分だったようで、一先ずこれで良し。
バイバイをして、次にいつ会えるか算段を立てる。
ついでにミューちゃんにお礼の文章を送らなきゃな。
今送るのは無粋だろうから、また明日にでも。
そろそろ肌寒い季節。
それとは裏腹に、暖かい胸の内を感じながら、僕も帰路へ向かう。
今日はいつもよりゆっくり眠れないかもしれない。
綺麗な秋晴れの空は、パレードと同じくらい、輝いて見えた。