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ズルイヒト《寿嶺二》

第2章 ズルイヒト②-1





「まだ続いてるんでしょ?『恋愛相談会』」
「う、うん...」
「はっ!当の本人に恋愛相談とは、バカバカしい」
「貴方様はもうオヤツ禁止」



なんだと!?と凄む彼氏さんに、よ、良かったらこれ...!と、新しい和菓子を出す。もうすぐやってくる、春の季節に合わせて、桜をモチーフにした、シンプルなお菓子。これは私が作った物だ。時々、気分転換がてらに作らせて貰っている。流石にお店に並べることはしないけれど。



「うわーこれ可愛い...愛梨のやつ?」
「うん、ちょっと花びらの部分こだわっちゃった」
「ふむ、悪くない」


少々歪になってしまったが、褒められるとやはり嬉しいもので、お礼を伝える。
美味しいと言ってくれた友人は、話逸れちゃったけど...と、言いづらそうにしている。




そう、先程話題に出た『恋愛相談会』


目下の悩みはこちらだ。

連絡先を交換したのは良いものの、特に用事がある訳でもなく、どうしたものかと悩んでいたのを、友人に相談したら、お礼したいなら、お菓子渡したら?と言われて、なるほど、と、寿くんと美風くんに持って行った事がある。
美風くんは、ほぼ研究室に居るので、渡せる機会はあるだろうと思うのだが、寿くんは、そうはいかないのだ。
意を決して、連絡すると、わりと直ぐに返事が来た。


<気にしなくてもいいのに~!でも、貰えるものは貰っちゃおっと!>


続けて、ありがとうの文字が付いた、兎さんのスタンプが表示される。
こんなスタンプ使うんだ、かわいい...と、なっていたが、いやいや、返事しなきゃ、と頭をブンブン振り、いつ、どこでと、話を進めていく。


あれよあれよという間に、実家の和菓子を持って、約束の日は来た。
髪型は変では無いか、服装は大丈夫か、目の下にクマは無いか、普段ならそれほど気にしないことも、気になってしょうがない。
いつもより早歩きで、研究棟へ向かう。


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