第19章 ズルイヒト♭②
ねぇ、愛梨ちゃん。今、2人っきりだよ?
思わず、隣に移動して、キミを窓際に閉じ込める。
そうして、愛梨ちゃんの瞳が僕を映し出す。
もうすぐ頂上。キミの髪をすくって、口付ける。
顔を真っ赤にする愛梨ちゃんに、僕のイジワルが顔を出す。
そうしてキミの心を知りたくて、顔を近づけたら、その瞳は閉じられた。
強ばった姿を見て、そっとおでこにキスをする。
流石に付き合ってはない関係の相手に、無理やりするなんてことはしない。
そんな目で見られたら、止まらなくなりそうで、わざと距離を取って誤魔化した。
観覧車を降りて愛梨ちゃんの手を取ろうとすれば、一瞬戸惑った反応だったけど、ちゃんと手を握ってくれた。もしかしたら、本当にしても良かったのかもしれない。
愛梨ちゃんの反応に、嫌がられて無いのは分かる。
なんだかもどかしいけれど、直ぐにミューちゃん達を見つけて、そっと手を離す。
まだ、今なら引き返せると思う。
そんなことを考えながら、お土産が増えたミューちゃん達と、遊園地を後にする。キラキラの時間に、サヨナラだ。
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「あ、後ろの女性陣は、お疲れモードだねぇ」
「....あやつはともかく、貴様に振り回されたヤツには同情する」
「ひっどーい!嶺ちゃん振り回したりなんかしてないもん」
「はっ、どの口が」
バックミラーに写る大量のお土産に埋もれた愛梨ちゃん達を見てフフっと笑う。肩を寄せあってスヤスヤ眠る2人の邪魔はしたくないため、ミューちゃんも小声でやり取りしてくれる。
そんな些細なことに、愛を感じちゃうなぁとニヤニヤすれば、黙れ、気持ち悪い。と一蹴された。
相変わらず口の悪い彼だが、彼女さんの悪口はちっとも聞かないところを見ると、彼なりに大切にしているんだろうと感じて、やはりニヤニヤしてしまう。
「・・・どういうつもりでいる?」
「ん~?何が~?」
「とぼけるな...あやつが心配していた」
「そっか、良いお友達だね」
「...貴様の付き合いに口を出すつもりはないが、軽率な行動は控えろ」
「あれれ?ミューちゃんヤケに優しくなーい?」
「ヤツの菓子が、食べれ無くなっては困る」
「あはは!はいはい、分かってるって。だから睨まないで~」