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ズルイヒト《寿嶺二》

第18章 ズルイヒト♭①




ピロン



早速、お礼の品を渡したいと連絡が来た。
ご丁寧に、甘いものはお好きですか?と、文字を添えてある。

平気だよ~、と返事をした後、ついでにご飯のお誘いもしといた。
日にちの相談もして、以前行ったことのある雰囲気の良いお店を思い出して、さくっと予約。



『至らない所が多々あると思いますが、よろしくお願いいたします』



ただご飯に行くだけなんだけど、きっとあの困り顔で、一生懸命考えて送ってくれたんだろうと想像して、笑ってしまった。


楽しい時間になると良いなぁ。


そう思って、何度目かの夜を過ごして、約束の日を迎えた。待ち合わせ場所に向かえば、緊張した面持ちの彼女が見えて、なるべく明るく声をかけた。

待たせてごめんね~と言えば、ととととととんでもない!と、物凄く噛んでいる。前喋った時より緊張してるんじゃないか?って様子に、ちょっと意識されてるんだろうなって思う。

男としては、嬉しいもんだ。



多分、あんまり飲みに行くとかはしないんだろう、彼女は落ち着かない様子で座ってる。まぁそれも、僕のトーク力と、ちょっぴりお酒の力も借りたら、すぐに笑顔たくさんの時間になったんだけど。

それで、改めて2人っきりで話してて、彼女といる時間は、やっぱり居心地が良い。なんだろう、空気感、って言うのかな。控えめなんだけど、ちゃんと自分の意見は言ってくれる。
でも僕に合わせてお酒のペースは早いから、ちゃんと周りを見てる感じ。上手いこと言えないんだけど、どこまでも優しい雰囲気に、癒されるってのがしっくりくるかな。


彼女の顔がほんのり赤くなってる。そんなにお酒は強くないと言っていたから、ちょっとペース落とそうかなって思ったんだけど、お酒が入るほど、饒舌になる彼女の姿がもっと見たくて、あえてそのままにしちゃう。


ふと、先日久しぶりに会った僕の幼なじみ達の話になった。
彼らには、特別な絆があるって言うか、凄く自然体でお互いを大切にしているんだなぁって思うんだよね。それが、羨ましく感じる時がある。

ついついお節介しちゃうんだよね、なんて、何気なく話題にだしたら、彼女の中の何かに触れたのか、それはもう、今日一番と言っていいほど、僕を肯定する言葉がたくさん紡がれる。


なんだか、そのままの僕で良いって言われた気がしたんだ。
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