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ズルイヒト《寿嶺二》

第18章 ズルイヒト♭①




そんなことを考えながら喋ってたら、無事に提出を終えた彼女が戻ってきた。
アイアイは早々に帰っちゃったけど、辺りはだいぶ暗いし、僕も急ぎではないので、駅まで送ろうと思って彼女を待つ。

そんな僕の様子に気づいた彼女は、また慌てた様子で荷物をまとめて、隣を歩いてくれた。駅までお喋りする。
気まずい訳でも、すっごく楽しい!って訳でも無い会話だったけど、なんて言うんだろ、不思議と話しやすい。

自分が、人と喋るの下手な方では無いってこともあると思うんだけれど、僕の些細な言葉にも、ちゃんと頷いて反応くれたり、しっかりと耳を傾けてくれてるのが分かる。
後、くすっと、笑った顔が、可愛い。女の子はやっぱり笑ってて欲しいよね。


そんなこんなで、無事に駅まで着いたんだけど、僕の帰り道が逆方向と知って、この世の終わりみたいな顔になった。何かお礼を...!こんなことで、凄く必死な彼女。
好きでやった事なんだから、そんな気にしなくて良いのに、って思ったけど、もしかしたら堂々と研究助けて貰うチャンスかもと思って、連絡先教えて貰っちゃった。








後、単純に、もうちょっと喋ってみたかったんだ。













自分でも、ちょっと最低かもと思う事がある。



有難いことに、顔は悪くないと思うし、人付き合いも苦手じゃないから、わりとモテる方なんだよね。
何度か告白されてお付き合いもしたことあるし、経験ゼロとか、そういう訳でもない。もう良い大人だし。

ただ、相手の子から好意を向けられても、最後にはあっちから別れを切り出されちゃう。
僕に振り向いて欲しいって、頑張っている姿は可愛いし、僕なりにちゃんと向き合ってて、好きだと思っているけれど『優しすぎて本当に好きか分からない』って、いつも同じ言葉。

君が決めたことならって、僕も引き止めるようなことはしないけど、それが原因なのかなぁ、とは感じてる。

高校の頃からそんな感じだったから、また?とアイアイ達に呆れ顔されることも多かった。
ミューちゃんからは「貴様はシュガー無しの菓子みたいな奴だ」と言われたこともある。
ランランに言わせれば「砂糖漬け馬鹿よりマシ」らしいんだけど。












僕はそんな、必死になるような気持ちを、知りたかったのかもしれない。












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