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ズルイヒト《寿嶺二》

第17章 ズルイヒト♮⑤




お土産も無事に買い、トランプしよ~!と彼女の提案で、帰りの電車は4人でババ抜きをしながら過ごす。ちなみに教授は、同じ学会の人と飲むらしくて、帰りは別々だ。


いつ嶺二くんに話しかけようか悩んでいるが、切り出すのが中々難しい。


「えー!またアイアイが1番!?」
「レイジは思ってることが顔に出すぎ」
「むむ!このポーカーフェイスの貴公子と言われた僕ちんに...」
「あ、やったー!あーがりっ!」
「わ、私も....」
「おめでとう貴公子」
「えーん!3連続ぅ」


何度やっても1位になれない嶺二くんに、楽しい雰囲気が流れる。
あ、私、御手洗行ってくる!と彼女が座席を離れれば、僕も。と美風くんも座席を立つ。

チャンスは思わぬところでやって来た。




「れ、嶺二くん「愛梨ちゃん」」




トランプを片付けている嶺二くんと、言葉が被る。
お、お先にどうぞ、と声をかければ、今日、時間ある?ちょっとだけ話さない?と真剣な顔で言われた。う、うん。大丈夫。と返事をしてたところで、美風くん達が戻ってきた。

良かった。とりあえず、嶺二くんと2人になることは出来そうだ。
嶺二くんに、どう話そうか、たくさん考えながら、帰りの電車を過ごした。














「それじゃ、またね~!お疲れ様ー!」
「お疲れ」
「お疲れちゃん!」
「お疲れ様でした」




無事に地元まで戻り、途中、彼女さんが、飲みに行かないか誘ってくれたが、今日は無理、と全員が断った。まじかー!まぁいいや!またね!と終始明るい彼女に、今日一緒に居てくれた事へのお礼を告げれば、全然!あんまり役に立たなかったけど!と返してくれた。


皆とお別れして、嶺二くんに、じゃあ行こっか、と言われて頷く。
大学院に車が置いてあるらしく、嶺二くんについていく。研修どうだった?と聞かれて、どこどこの誰の発表が面白かっただとか、私だったらこうかも、との話をうんうんと聞いてくれた。


嶺二くんの車に乗るのは何回目だろうか。
もうすっかり慣れてしまった助手席に乗り込み、シートベルトを付けたら発進する。
いつ話そう、悩んでいれば、まだ時間ある?と聞かれて、平気だと答える。連れていきたい所があるんだ、と言われて、少しドライブすることに。



なんだかいつもより真剣な空気で、話を切り出せなかった。





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