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ズルイヒト《寿嶺二》

第16章 ズルイヒト♮④-2



そう言う場所なんじゃないの?と、美風くんの冗談な話題は置いときつつ、話の内容で分かるように、今回の研修場所は京都である。
ホテルの場所と近くて、観光っぽいところ、と言うことで、定番清水寺にこれば、たくさんの観光客で賑わっている。

やはり、この研修中に嶺二くんと2人になるのは難しそうだな、とため息を付いていれば、人混みの中に見覚えのある姿を見つけた。その人物も、私を見つけて、おや、と言った感じで近づいて来ている。





「愛梨さん!」
「ま、真斗くん...!」





満面の笑みで、こちらに寄ってきた真斗くん。
なんていうタイミングで真斗くんに会うのだ。なんだか嫌な汗が、頬を伝う。
美風くんや、嶺二くんも、こちらを見ている。あれ、知り合いー?とこちらを見た彼女さんが一言。






「あ!水野さんのお見合い相手!」
「む、ご存知でしたか」







その一言に、周りの温度が下がった気がした。
神様はいじわるすぎる。






「そ、そうなんだけど、その...」
「このようなとこで会うとは、やはり愛梨さんとはご縁があるのですね」
「私らは大学院の研修で来てるんですよ~!お兄さんはこっちの人?」
「そうでしたか。自分は地元なのですが、今日は所用でここに」


そう言って、愛梨さん、とコソッと耳打ちされた。


無事に、実りました。


そう言って、凄く嬉しそうな真斗くんの顔。
わぁ!おめでとう!と返事をすれば、固い握手が交わされる。


「実は、彼女と来ておりまして....もしや、あちらの方ですか?」



と、真斗くんの視線の先には、嶺二くん。
こくんと頷けば、そうですか。と真斗くん。


「愛梨さんも、どうか成就しますように」
「う、うん、ありがとう!」



そう言って、去っていく真斗くん。なんか武士みたいな人だねぇ、なんて、彼女の言葉に、そ、そうだね、と曖昧に頷く。美風くんや嶺二くんの視線を背中に感じる気がする。あ、もうこんな時間じゃん!お土産買いに行こう!と彼女の提案に賛成して、4人で駅まで戻る。

ちらりと嶺二くんを見ると、視線があった気がしたが、すぐに逸らされた。
勘違いだったかもしれないが、それでも、嶺二くんとすれ違いになるのはもう嫌だ。



拳を握りしめて、前を向き直した。
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