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ズルイヒト《寿嶺二》

第16章 ズルイヒト♮④-2





はい、じゃあ、グループごとで資料作りを、と教授の長話も終わりになったが、嶺二くんに話しかけようと思った所で、水野さん、と言われて、見れば彼女の姿。




「昨日はありがとう!ごめんね、直接お礼言えなくて」
「え、う、ううん!こ、こちらこそ、人任せにしちゃって...」

「いや!大事な事なんだから、そっち優先して!それで、ごめんね、実は話してるの聞くつもり無かったんだけと、私昔っから耳が良くてさぁ~」




あまりにもおめでたい話だったから、ついみんなに言っちゃって




あぁ、お母さん、やっぱり聞こえてたみたいだよ。
心の涙を流しながら、母への八つ当たりをしてる場合ではない。

彼の事は、事情があって相談に乗っていただけで、結婚予定など無いことを伝えると「え!結婚して下さいとか、お見合い相手水野さんで良かった、とか言ってたから、てっきり...マジかぁ!ごめんね!!」と。

悪い子ではないのだろう、私昔っから早とちりで、と謝られた。
う、ううん、大丈夫だよ。そう返事をして、嶺二くんの姿を探すが、見当たらない。



どうしよう。絶対に勘違いさせている気がする。
すぐにでも真実を伝えたいが、こういうのは直接の方が良いに決まっている。焦る私を他所に、水野さん、グループで集まろうって、と言われれば、そちらに行くしかない。


早く終わりますように。



震える携帯を確認する間もなく、話し合いは始まった。











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「水野さん、レイジと結婚するの?」







ブフッ、と飲んでいたお茶を吹き出した。

終わらないグループの話し合いの中、担当を割り振っている途中で、隣に座っていた美風くんが口にした言葉の威力に、耐えられなかった。

ご、ごめん...!と慌ててハンカチで拭く。良かった、被害があったのは私の資料だけで、周りへは飛んでいない。ご、ごめんね汚くて、だ、大丈夫?と、聞けば、平気、問題ないよ。とのご回答。それよりも、別の問題の誤解を解いておきたい。

幸いにも、他のメンバーには聞こえて無いらしい。みんなそれぞれパソコンに向かって、あーだこーだ言っている。余り聞かれたくない話なので、小声で美風くんと話す。


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