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ズルイヒト《寿嶺二》

第13章 ズルイヒト♮②-2





「や~!マジでありがとう!助かる!!今度連絡するね!」
「う、うん」




そう言って、さよならをする。良かった、変なお願いじゃなくて、と安堵している自分に、消沈してしまう。彼女の言葉が、胸に刺さってとれてくれない。私は、どうしたいんだろう。夜の街を立ったままでいると、ポコンと叩かれた。驚いて振り向けば、美風くん。





「こら、明日もあるんだから、とっとと帰る」
「み、美風くん...」
「駅まで送るから、さっさとしてよね」




そういって、スタスタ歩き出す。置いてくよ?と言われて、小走りで追いかける。あ、ありがとう...と言えば、別に。と返ってくる。美風くんに送ってもらうのは初めてだ。ここに嶺二くんが居たら、なんて考えてもしょうがない。少し暖かく感じる夜の道を、並んで歩く。今日の飲み会の話になった。



「なんで要らないって言ってるのに、あれこれ世話焼くんだろう。不思議だよね、彼女」
「そ、そうだね...?」
「キミと話してるの、今まで見た事無かったんだけど、仲良いの?」
「う、うーん、私もちゃんとお話したの初めてで...」
「ふーん?その割には、彼女楽しそうだったけど」



それは美風くんや寿くんとお近づきになりたいから、なんて言わない方が良い気がする。よくわかんないや、と言う美風くんは、あんなに優秀な探偵さんなのに、こと、自身に対しての恋愛面とかでは、すっぽ抜けてる気がする。美風くんの意外な一面をみて、ちょっと驚く。
でも、こうやって送ってくれたり、普段気にかけてくれる、優しい人なのは知っている。




「美風くんも、大変だね」
「別に?飲み会とか好きじゃないけど、付き合いなら行くし、極力控えたいって言うのは本音かな。・・・水野さんのが大変でしょ」




そう言って、スマホの画面を見せてくれた。そこには嶺二くんとのやり取りで『アイアーイ!愛梨ちゃんのこと、頼んだよー!』の文字。まさか今日の飲み会きてくれたのって....と思考を張り巡らせていたら、過保護だよね、レイジって、と一言。

私に甘い嶺二くんと、なんだかんだで嶺二くんに甘い美風くん。

思わず吹き出したら、何?と美風くんに睨まれた。な、何でもないよ!と返して、早歩きになった美風くんを走って追いかける。すぐにゆっくり歩いてくれた美風くんに、また笑顔が零れた。

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