第12章 ズルイヒト♮②-1
「もう、子供じゃないんだから、それぐらいで騒がないでよ。ウザイ」
「ガーン!アイアイってば、辛辣ぅ」
「こ、個人の時なら、一緒にできると思うから...」
とは言いつつも、やはり違うグループになってしまったのは、私も寂しい。
ほんとぉ~?と、くすんと涙ぐむ嶺二くんが可愛く見えて、にやけないように必死だ。やれやれと美風くんがため息をつく。
「ほらレイジ。グループの人と飲み会なんでしょ?さっさと行きなよ」
「愛梨ちゃーん、アイアイが冷たいー!」
待たせちゃダメでしょ、と美風くんに足蹴にされた嶺二くんは、はーい...と、渋々動き出すが、あ、と言って私に駆け寄る。
「愛梨ちゃん、僕のプレゼントって持ってる?」
「え、あ、い、一応、持ち歩いてはいるんだけど...」
「今出せる?」
そう言われて、鞄にしまって置いたリングを取り出す。それを嶺二くんが持って、私の指にはめる。ピンキーリングだから、小指になるのだが、それでも指輪をはめてもらうという行為に、ドキッとしてしまう。
うんうん、と満足そうな嶺二くんは、そのまま手の甲にキスして、じゃあまたねー!と、いってしまった。
取り残された、顔が赤い私と、怪訝な顔をした美風くん。
なんだか手の甲と指が熱い気がする。
「ほんとに付き合ってないの?」
「あ、あはは....」
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さて、嶺二くんのグループも飲み会となれば、こちらのグループも飲み会である。美風くんはあまり気乗りしないようだが、教授直々に誘われては断りようがない。男性4名、女性2名の6人グループで、ひとまずよろしくと乾杯をして挨拶をする。
ある程度は顔見知りなので、幾分改まることは無いのだが、忙しい日々の息抜きに必要なのだろう、皆でお喋りをする。今回、同じグループになった女の子は、私とは雰囲気の違う綺麗な女の子。確か、前のグループで嶺二くんと一緒に居た人だ。
あんまりよくは知らないが、美風くんの隣に居ても見劣りしない、相当な美人さんである。率先して、彼女は美風くんのお皿に沢山取り分けているが、少食な美風くんは、要らない、大丈夫、止めて、の一点張りだ。
うーん、美風くん、ブレないなぁ。と観察していると、美人さんは私に話しかけた。