第12章 ズルイヒト♮②-1
「れ、嶺二くん、あの、シャ、シャワー借りても良いかな...?な、何度もごめんね」
「んーん、全然だいじょぶ!タオル出してくるね」
ちゅ
ついでにと軽くキスされてしまった。服も乾いてると思うから、出しとくね~と、鼻歌混じりで用意している嶺二くん。
....なんだろう。前から優しいし、距離は近くなった気もするが、前以上に、色々、増している気がする。それは嶺二くんが甘えてくれてるから、かもしれないが、こんな甘々モードが続いては、心臓がいくつあっても足りない気がする。でも、余りにも嬉しそうな嶺二くんをみていたら、それでも良いと思えてきた。
タオルと着替えを受け取るついでにまたキスされて、赤くなった顔のままシャワーを借りる。さっと出たら、朝ごはんが用意されていて、二人で美味しく頂いた。
これぐらいはさせて欲しいと、と片付けを担当し、時間を見れば、まぁまぁ良い時間。外はすっかり晴れていて、一緒に大学へ向かう。
嶺二くんのお家は、歩いて行ける距離にある。
車で移動が主ではあるが、気が向けばのんびり歩いて行くこともあるらしい。今日は気が向いた日らしく、手を繋いで歩く。
その間も嶺二くんはご機嫌だが、かくいう私は、知り合いに見られたらどうしようやら、はしゃいでる嶺二くんも可愛いなぁやらで、かなり複雑だ。
もうすぐ研究室と言った所で、案の上、共通の知り合いと呼ぶに相応しい相手を見つけた嶺二くんは、アイアーイ!と声を掛けている。
これはまたレポート案件かもしれない。
振り向いた美風くんは、私と嶺二くんの手が繋がっていることを確認し、ふむ、と言っておはようと返事をしてくれた。
「お、おはよう美風くん」
「おはよう水野さん。レイジはいつもより20%増しで元気そうだね」
「アイアイも元気そうでなにより!なんなら3人で、手、繋いじゃう?」
スカッと、嶺二くんの手は躱される。えぇーツレないなぁ、なんて口を尖らす嶺二くんに、50%かも、と呟いてスタスタ歩いていく美風くん。待ってよー!愛梨ちゃん、行こう!と手を引っ張ってくる嶺二くん。
う、うん、と返事をして手を繋いだ嶺二くんと私、美風くんと並んで歩いた。かなり周りの視線が気になったが、どうにでもなれ、の精神で研究室へ向かう。
レポートの進み具合を思い出して、気合いを入れた
