第12章 ズルイヒト♮②-1
また、あの夢だ。
舞台の真ん中でスポットライトを浴びる男性
切なげな表情で、マイクを握りしめている。
周りがポツポツと光出して、パァーっと明るくなる。
すると嬉しそうに、クルクル周り出して歌い出す。
良かった。
そう感じて、涙が出てきた。楽しそうな彼はマイクをこちらに向けてきた。
そんな彼はやっぱり私の知っている....
「....れいじ、くん」
そう呟いて、瞼がゆっくりと開く。目の前には嶺二くんのドアップ。
思わず、ワッ!と小さく悲鳴を上げてしまった。んー...と身じろぐ嶺二くんだが、そのまま寝息が聞こえてきて、起こさなかったことに安堵する。
今の状況を確認するために、どうしてこうなったかを思い出す。
昨夜はオムライスを食べて、さあ寝ようとなった時に、流石にこれはお泊まりさせて貰う流れだと覚悟を決めて、一緒の布団にお邪魔した。
既に一線を超えてしまったとは言え、嶺二くんの匂いに包まれるのは、流石にまだまだ恥ずかしい。ドキドキして寝れないかもしれない、と伝えると、嶺二くんのスイッチを押してしまったようで、そのまま、その....してしまったのだ。
2回目だったせいか、最初よりも激しかった気がする。嶺二くんも、ずっとイジワルなことばかり言っていて、思い出すと顔が赤くなるが、こそっと見る嶺二くんの寝顔は、なんだかとても可愛くて、昨夜とは全然違う顔。
全部が愛おしくて、思わずそっと触れてしまう。
起こしませんように。
そう願いながら、頬に口付けて、今何時だろうと身体を回転させれば、後ろから引っ張られた。
ひゃっと、思ったら、そのまま布団に押し付けられて、ちゅ。と軽くキスされた。おはよ、と、寝起きとは思えない身のこなしに、お、おはようと返事をする。
「ご、ごめん、お、起こしちゃった?」
「...んー、あんな可愛いことしといて、離れちゃうんだもん。嶺ちゃん寂しくなっちゃう」
「く、くすぐったいよ、嶺二くん」
胸の辺りに、顔を擦り寄せる嶺二くん。どうやら服は着せて貰ったらしい、嶺二くんのシャツを身にまとっている。とはいえ、胸を抑えるものは付けていない。直では無いとはいえ、なんだかムズムズしてしまって、れ、嶺二くん!と声が大きくなる。はーい、と渋々離れてくれた。