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ズルイヒト《寿嶺二》

第11章 ズルイヒト♮①-2




彼の手から口が解放される。う、ううん、へ、変な事言ってごめんなさい。と告げれば、変なことじゃないよ、と笑ってくれる。



「ありがとう、愛梨ちゃん」
「え、わ、私の方こそ、ありがとう...?」
「...まだ、一緒にいても良い?」
「...!も、もちろん...!!」
「うん」



また、ぎゅっと抱きしめてくれた。私も抱きしめ返す。顔を見れば、瞳がぶつかって顔が近づいてくる。そっと目を閉じれば....






ぐぅきゅるるる






「・・・」
「・・・」
「....愛梨ちゃん」
「....は、はは、はい....」
「ご飯食べた?」
「ま、まだ...です...」





そういえば、研究に没頭していて食べて無かった。
なんてタイミングで鳴るのだろう、私のお腹は。余りにも恥ずかしすぎる。
嶺二くんは、肩を震わせているのが分かる。これは、また、穴があったら埋まりたい。


目に涙を浮かべているであろう嶺二くんは、さっきとは比べ物にならない明るい顔で、ご飯にしよっか、何かあったかなぁとキッチンへ向かう。
て、手伝います....!と、ついて行けば、冷蔵庫の中身をチェックしている嶺二くん。うーんと、悩んで、オムライス、好き?と聞いてくれたので、す、好きだよ。と返事をしたらメニューは決まった。



調理を手伝いつつ、テーブルに美味しそうな料理が並ぶ。
お互いのオムライスに、ケチャップでそれぞれかいて食べよ!と言われて、悩んだ私はイラストを描く。嶺二くんを見れば、レイジLoveと書かれたオムライス。こ、これを私が食べるのか、と思うと、顔に出ていたのか、ちょっと愛梨ちゃん引いてない?と言われて、首をブンブン振る。

私の描いたものを嶺二くんが見れば、えー!僕にはハートとかじゃないのー?と言われて、ちょっとズレた所にハートを添えておいた。嬉しいー!ありがとうと笑顔で言われて、両手を合わせて頂きます。


可愛いいネコさん、食べるの勿体ない!
い、犬です。
...いただきマース!


私も文字にすれば良かったと思いつつ、ふわふわなオムライスはとても美味しくて、ランラン直伝なんだよ、と教えて貰った。そういえばお粥もあの男性だったと思い出す。


外は荒れているけど、とても暖かくて、穏やかな、夕飯になった。
オムライスは、優しい味だった。
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