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ズルイヒト《寿嶺二》

第11章 ズルイヒト♮①-2




「わ、私は、思ってること、伝えるの下手だし、こ、こんなことするのも、初めてだから、嶺二くんの、ち、力になれてるか、分からないけど...」
「いえ、それはもう、力になりすぎて、僕ちん元気過ぎって感じで....」


「ほんとに、あの、い、いやとか、全然なくて、む、むしろ光栄と言うか恐縮と言うか.....う、嬉しいとか、恥ずかしいとかは、あ、あるんだけど、れ、嶺二くんが、嫌じゃないなら、私は良かったと言うか、その....」



だんだん、何が言いたいのか分からなくなってきた。

上手く言葉を紡げない。未だに、私たちの関係に、適切な言葉付けるのが難しくて、伝えて良いセリフなのか、戸惑ってしまう。


距離を感じたあの時間は、もう味わいたく無い。


嶺二くんの瞳に見た悲しい色を、何とか消したくて、私に何が出来るか考えるけど、やっぱり思い浮かばない。でも、伝えたい。
身体を離して、嶺二くんの顔を見る。



「れ、嶺二くんは、私の、レジリエンスだから!か、可愛いところも、格好良いところも、ちゃんと考えてくれるところも、い、いじわるなところも...全部、私にとっては、凄く眩しくて、あったかくて....だから、そ、そのままの嶺二くんで、そ、傍にいて欲しい.......です」





嶺二くんの瞳は、じっとこちらを見つめていた。


自分の口下手な部分を呪わない日は無い。お風呂場に、私の声が反射して響く。その目を逸らすことも、次の言葉を紡ぐことも出来ないまま、見つめ合う。
嶺二くんの瞳が、閉じられて、嶺二くんが下を向く。
と思ったら、ザブン、と湯船に潜ってしまった。お湯が跳ねて、溢れる。

ひゃっ、と声を上げて飛沫から顔を逸らせば、はーー!っと嶺二くんが髪をかきあげながらお湯から出てきた。その仕草がなんだか色っぽくて、ドキっとしてしまう。




「愛梨ちゃん」
「は、はい!」
「お風呂出よっか。僕ちん、このままだと、もっと元気貰っちゃいそうだから」




そう言われてハッとした。
裸で向き合ったままだった。慌てて同意をして、シャワーで流して風呂場を後にする。

タオルでしっかりと身体を拭いてから、新しいシャツをお借りした。また嶺二くんの匂いがして、ドキドキする。
今度は嶺二くんもシャツを着ている。2人ともタオルを頭にのせて、カーペットに座って対面する。

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