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ズルイヒト《寿嶺二》

第11章 ズルイヒト♮①-2




うー...と嶺二くんの唸り声が背中から聞こえたと思ったら、そのままガバッと起き上がって、お風呂場の方へ歩いて行った。


突然の行動に呆気に取られた私は、お布団の上でノロノロと身体を起こす。
感じたことない身体の違和感やさっきまでの感覚を思い出して、嶺二くんに抱かれた事実をじわじわ実感する。


ばん!とお風呂場の扉が開いて、ビショビショのままの嶺二くんが出てきた。


「れ、嶺二くん...!?か、風邪引いちゃうよ!タ、タオルは...」
「愛梨ちゃん、はい、バンザーイ」
「ば、ばんざーい?」
「うん、それで僕につかまって」
「つかま...ひゃっ!つ、冷たっ...!?」



よいしょっ、と抱っこされて、お風呂場へ連れてかれる。
嶺二くんの身体の冷たさに驚きつつ、裸のままなことを思い出して恥ずかしくなる。もー今更でしょ、と私を運ぶ嶺二くんは、お風呂場へ着くとゆっくりと降ろしてくれた。


シャワーで身体を流して、湯船に浸かる。
何故か、一緒に湯船に入っている嶺二くん。2人だとちょっと狭く感じてしまうが、入れないこともない。
お風呂場は明るくて、さっきよりもはっきりと身体が見えてしまう。見られるのが恥ずかしくて嶺二くんに背を向けていたら、えいっと引っ張られて、背中ごしにピッタリとくっつく。
肩に嶺二くんの顎が乗せられて、後ろから抱きつかれた状態になった。


私からは嶺二くんの足しか見えないが、背中に感じる嶺二くんに、またドキドキしてしまう。動くとチャプンとお湯の跳ねる音が響く。はぁぁ...と、嶺二くんがため息をつく。




「....身体、平気?」
「え、あ、う、うん...す、少し、違和感はあるけど....」
「.....ごめんね」




そう言われて、またぎゅっと抱きしめられる。
謝られる理由が分からないけど、嶺二くんの中で、何か許して欲しいことがあったんだ。
どう返したら良いか分からなくて、思わず振り返る。そのまま嶺二くんの頭を抱きしめた。わっ!と、声を上げる嶺二くん。勢いがあって、嶺二くん諸共、滑りそうになったけど、浴槽に踏ん張って沈むのを塞いだ。



「あ、あのー、愛梨ちゃん??僕としては、顔が嬉しいと言うか、大変と言うか...」
「れ、れれ、嶺二くん!」
「はい!」



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