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ズルイヒト《寿嶺二》

第5章 ズルイヒト④





「僕だって、色々考えてるよ」
「・・・ふん。なら良いがな」
「ミューちゃんだってぇ、彼女さん泣かしちゃダメだぞ!」
「はっ!くだらん心配をするな。当たり前だ。む?寿、あそこのドライブスルーに寄れ」
「期間限定ですね、はいはい。いやー、彼女さん、よくミューちゃんに付き合えてるなぁ」
「そっくりそのまま返してやろう」





友人とカミュさんの優しさに触れ、ちょっと泣きそうになれば良いのか、最後の会話に笑えば良いのか分からないけど、隣で眠る友人が目を覚ました所で、一緒に起き出す。


こっそり聞いてしまった会話に、多少の罪悪感はあるが、さっきよりは胸の痛みが消えている。ありがとう、カミュさん。
口には出せないけれど、隣に居る友人にも微笑んで、期間限定とやらのドリンクを一緒に頼む。
それは、ほんとに凄く、甘かった。














「じゃあね愛梨!また連絡する!」
「うん、ありがとう。カミュさんも」
「次の新作が出たら、早く言うのだぞ」
「寿さんもありがとうございました!愛梨のこと、お願いします」
「はーい、まっかせといて!」



大量のお土産を持った2人に手を振って、今度は助手席に座って、家まで送って貰う。さっきまで賑やかだったせいで、2人で居るのがとても静かに感じる。



「れ、嶺二くん、ずっと運転してくれて、ありがとう、疲れてない?」
「んーん!ぜ〜んぜん平気だよ!へっちゃら~!」
「う、うん、でも、ありがとう」
「愛梨ちゃんこそ、疲れてない?」
「あ、う、うん!大丈夫!....いや、さっき寝ちゃってたから、説得力ない....かな?」
「あはは!可愛い寝顔が見れて、役得でした~」
「も、もぅ、またそんな事....」
「また一緒に来たいね」
「う、うん、そうだね」




それは、2人で、なのだろうか。

聞く勇気が無い自分にがっかりしてしまう。
ダメだ。このままでは、何も変わらない。
拳を握りしめて、口を開く。




「れ、嶺二くん!」
「うん?」
「あ、あの、嶺二くんは...」
「うんうん」
「あの、えっと....今日、た、楽しかった?」
「うん!もっちろん!温泉じゃなくなったけど、遊園地も久しぶりだったし、楽しかったよ~!」
「あ、あの、じゃ、じゃあ!」




「お、温泉のリベンジしませんか!?」

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