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ズルイヒト《寿嶺二》

第5章 ズルイヒト④




楽しい時間はあっという間。
ジェットコースターで撮れた、とんでもない顔の皆の写真や、浮かれて買ったお揃いの帽子、無事に手に入れた全エリアのお菓子をお土産に、最後はハロウィンパレードを見て帰ろうとなった。


カボチャに扮した人や、お化けや魔法使いといった参列は、とても煌びやかで、音楽に合わせて動く姿は見ていて楽しくなってくる。
遊園地に来ている人のほとんどが居るであろう、パレードを見る集団に、うっかりはぐれそうになる。


はい、と、嶺二くんに手を差し出されて、最初はとまどったが、また手を繋ぐ。2回目とは言え、気恥しい。そしたらそのまま、嶺二くんはにこっと笑って、手を引っ張って、走り出す。...え、走り出す??





「れ、嶺二くん!?パレード見ないの?」
「うん、パレード見る見る!」
「???」




と、連れて来られたのは、観覧車。
なるほど、皆パレードの方に行っていて、かなり空いているせいか、すんなりと乗れた。ゴンドラが地上から離れるにつれて、パレードの列が、ハート型になっているのがわかる。




「わぁ...!綺麗...可愛い...!」
「ね!パンフレットにも載ってない穴場なんだって」
「こんなに綺麗なのに、勿体ないね」
「うん、だから、一緒に見たいな~って思ったんだよね」
「そうだね、カミュさん達にも声掛ければ良かったね」
「ううん」
「...え?」
「2人で見たいなって」






ギシッと、ゴンドラが揺れた。






「愛梨ちゃんと、2人で」






向かいに居たはずの嶺二くんは、隣に座っている。
ほとんど窓際に居た私は、逃げ場の無い状態で、嶺二くんに見つめられる。
俗に言う壁ドンなのか、これだと窓ドンなのか、彼の瞳に見つめられると、どうしたらいいか分からない。



じっと見つめられて、目が逸らせない。




「...っ....れ、嶺二くん...」
「うん」




嶺二くんの手が、私の髪を梳かす。
そのまま、髪に口付けされた。

それだけで心臓が跳ねる。
お化け屋敷の時よりも、もっと、ドキドキする。




「あ、あの...!」
「...お化け屋敷で」
「え?」
「キス、しちゃうかと思った」
「...っ!」
「...愛梨ちゃんは....どう思った?」




私も

だなんて、言っても、いいの?

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