第3章 ズルいヒト②-2
お腹を抱える、とはこう言う事なのだろう。
寿くんって、ほんとに良く笑う人だと思うんだけど、なんだろう、ここまで、豪快に笑う事ができるんだ。と新しい一面を知れて、ちょっと嬉しくなったが、内容が内容だけに、純粋に喜べない。
目尻に涙を浮かべている。流石にちょっと笑いすぎでは無いだろうか。
「はー!あ、アハハ、ごめんごめん!ちょっと、初めてだったから」
「は、はぁ...」
「いやー、ありがとね、水野さん」
「...ど、どういたしまして?」
アハハ!と、また笑い出してしまった。寿くんは笑い上戸なのだろうか。
そんなに飲んでいるようには見えなかったが、お水頼もうか?と口に出せば、ううん!と、残っていたお酒を飲み干す寿くん。はー...めんごめんご、もう大丈夫!と改めて見つめられる。
「水野さん、水野さん」
「は、な、なんでしょう?」
「僕ちんの相談、のってくれる?」
「そ、相談...?」
「うん、今やってる、研究なんだけど」
研究、ということは、心理学の課題の事なのだろうか。
それならば、私でも力になれるかもしれないと思い、私で良ければと返事をする。助かる!ありがとう!次、何飲む?と聞かれ、慌てて、メニューを見直す。
先程まで飲んでいたものと同じものを頼むと、寿くんも同じものを、と頼んでくれた。
「えっと、寿くんって、社会心理学だっけ?」
「そうだよ~!テーマは“男女間における共有心理と距離感による検証”」
「なるほど、沢山あるもんね、男女間の違いについてって...」
「うんうん」
「距離感による検証か...検証・・・」
「うんうん!」
「.・・・け、検証...?」