第23章 ズルイヒト♭⑤
---普段、眠りはそんなに浅い方ではないと思う。
ふと、目が覚めて見れば、すやすやと目を閉じている愛梨ちゃん。
しまった、またやってしまった、と思ったのは、彼女が服を着ていないから。ついでに自分も着ていないことを確かめて、はぁー、ため息をつく。
昨晩は、愛梨ちゃんにおやすみのキスでも強請ろうかと思っていたら、可愛い言葉が返ってきて、またも理性が飛んでしまった。
さすがにしたばかりだから、ちゃんと寝ようと決意してるのに「嶺二くんの匂い、安心するけど、ドキドキして、寝れないかもしれない...」なんて言われたら、僕ちん無理です。可愛いすぎる愛梨ちゃんが悪いってことにして欲しい。
さすがに裸のままはダメか、と思って彼女に服を着せても、全然起きる気配が無い。うーん、無理させちゃったなぁ....やっぱり僕が悪いです。めんご。
そっと、キミのおでこに口付けて、僕も服を着てから布団に入り直す。まだ起きるには早い時間なのを確認して、君を抱きしめた。
ん...れいじ、くん...と、僕の名前が出てきた。また、君の夢に出てるのかな。寝ても覚めても僕でいっぱいだなんて、嬉しいな。
そう思ったら僕も愛梨ちゃんの夢を見たくなった。
君の寝顔を見つめて、こっそり口に出す。
『 好きだよ 』
臆病な僕からの、精一杯の告白。
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ゴソッと、何かが動く気配で、意識は浮上してきた。あぁ、愛梨ちゃんが起き出したんだな、と分かったけど、君がどんな反応するか気になって、寝たフリを続けた。
そしたら、頬に当たる柔らかい感触。
すぐに気配が離れちゃったから、そのまま起き上がって、キミを連れ戻す。
布団を背に、君に口付けたら、わっ、と驚いた顔の愛梨ちゃん。
「ご、ごめん、お、起こしちゃった?」
「...んー、あんな可愛いことしといて、離れちゃうんだもん。嶺ちゃん寂しくなっちゃう」
「く、くすぐったいよ、嶺二くん」
愛梨ちゃんの胸に擦り寄れば、れ、嶺二くん!と窘められた。名残惜しいが、流石に準備は始めないと、遅刻しちゃうか。残念。