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EMPIRE PRINCESS

第1章 EMPIRE STORY





アチチッ!ランラン落ち着いて!と宥めるレイジに、ふぅ、とため息のアイ。アイは、姫を背に庇うように立つが、彼女の口から聞こえた言葉に、思わず振り向こうとすれば、今度は部屋の空気が下がる。カミュから冷気の粒が発せられ、ランマルの炎と相対するように部屋を覆う。




「相変わらず沸点の低い『低俗な王子』ですね」
「血の通わねぇ『冷血プリンス』には言われたくねぇな」




こそっと、レイジは一触即発の2人の元を離れ、アイと姫を庇うように、さり気なく近づいた。



「あちゃー、これはまた怒られるかなぁ」
「レイジ、早くなんとかしてきてよ」
「無理無理無理。所詮『お飾りの王子』の言うことなんて聞きやしないって」
「こういうのって第一王子の役目じゃないの?」
「誰が決めたのそんな事」
「あ、あの」



声のする方を振り向くレイジとアイ。ごめんねぇ、お姫様巻き込んじゃって~、とレイジが言えば、いえ、それより...



「...お止めした方が、良いのですか?」
「そりゃあ、お城の人達が後で大変だし、お姫様放ったらかしだし?」




分かりました。と、熱気と冷気の渦へ近づいていく。
ちょ、ちょっと!とレイジの静止を聞かず、2人の元へ近づくと、両掌の組み、目を閉じて祈るような格好になった。




彼女の口から歌が紡がれる。





歌とともに、彼女の身体が淡い光を放つ。
その光と優しい歌声と共に、レイジとアイ自身の身体もうっすら光っていることに気が付き、いがみ合っていたランマルとカミュも異変に気付く。



自身の力が、光の粒子に変わっている。あれだけあった熱気と冷気が混ざり合い、暖かく、涼しいものに変わっていく。そして、4人の耳に届く音が、まるで生まれたての何かを抱きしめるように、優しく包んでいく。






それは今まで経験したことの無い
不思議な居心地の良さを、感じていた。







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