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EMPIRE PRINCESS

第1章 EMPIRE STORY






その声が響くと共に、ちっと舌打ちをしたランマルは椅子に座り直す。
各々姿勢を整え、姫を待ち構える。








ギギギ、と扉が開く。









白のベールに身を包んだ女性が現れる。
扉が開ききり、一歩ずつ彼らの前へと進んでいく。


足取りは、まるで雲の上を歩くような、優雅で不思議な空気を纏う。
その顔はベールで隠されているが、何故だが惹き付けられるその姿に、ピンとした緊張感が張り詰める。


まるで世界の音が無くなったかのように、静かなその空間は、彼女の一挙一動に支配されているみたいで、誰しもが彼女から目が離せない。
彼らの前に凛と立つその姿は、どこか手の届かない、そんな存在であると感じさせる。


時が止まったかの様な瞬間に、はっと気がついたレイジが、咳払いをすれば、周囲の人間も気がついたのか、臣下が声を上げる。



『...っ!こ、こちら、可の国から参られた・姫でございます。姫、こちら、我が国のプリンスレイジ、プリンスランマル、プリンスアイ、プリンスカミュ様方でございます。どうぞご挨拶を』





「....お初お目にかかります。・......こちらの言い回しでは、と申します。名高き皆様にお会いでき、光栄でございます。至らぬ者ではありますが、両国の永き平和と繁栄を願い、幸多からん日々になるよう精進致しますゆえ、何卒ご指導ご鞭撻の程、お願い申し上げます」



両手を前に出し、頭を下げるその行為は、この国で敵意が無いことを示す。





「ねぇ」
『はっ、プリンスアイ』
「僕らだけにしてくれない?」





彼女がピクっと動いたのを、彼らは見逃さない。
臣下達は一礼をして、部屋を出ていく。
扉が閉まり、彼らだけになると、ふぅーと息を吐いて、最初に立ち上がったのはレイジ。



「いやー、やっぱり皆の前だと硬っ苦しいよねぇ」
「ふふっ、上に立つ者として、当然の姿ですよ、レイジ」
「に、したって珍しいじゃねぇか、アイが下がらせるなんて...アイ?」




スタスタと、玉座から一目散に彼女の元へ歩くアイ。





彼女の前に立ち、腰を屈ませて、じっと彼女を見つめる。





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