第1章 EMPIRE STORY
ここは城の謁見の間。
その場所に、4人のプリンスと呼ばれる者達が座っていた。
「どったの~皆怖い顔しちゃって!」
「テメェ、聞いてたんだろ、例の件」
「やだなぁ、睨まないでよ。もう決定事項だったし~」
「くだらんな。我らに拒否権があると思えん」
「ちっ!なんでこんなめんどくせぇ事しなきゃなんねぇんだよ」
「ランマルも分かってるんでしょ?他に解決策があるなら、案を出したらと思うけど」
「....だからって、俺は顔も知らねぇ女を抱く趣味はねぇ」
決して良い雰囲気とは言えない彼らだが、ある理由があった。
それは、数刻前に彼らの王から伝えられた内容。
『我が国の為、某国の姫と婚姻し、子を成して国を繁栄させよ』
しかも、その姫は後数刻でやってくると言う。
4人で迎えろとの命に、拒否権はなく、悪態をつくランマル。
「ほらほら~!ただでさえ誤解されやすいんだから、ランランもミューちゃんもアイアイも~!スマーイルスマーイル!」
「うるせぇ」
「黙れ」
「静かにしてよね」
品の無い国だと思われちゃう。そんなアイ達の言葉に、ドイヒー、と嘘泣きをするレイジ。家臣達は、彼らがいつもこんな感じなので、特段心配はしていないが、今日は粗相をしてはいけない相手の為、ハラハラしながら見守っている。
そんな周りの様子に気づいてか、彼らもこの場を離れようとはしなかった。
「でもでも~!どんな子か気になるよねぇ!今まで秘匿されていた、お姫様なんでしょ?」
「データによると、どこにも属していない小国だったんだけど、今の時勢とは思えないほど、豊かな国みたいだね。それも、そのお姫様の力だって言われてる」
「そんな大層な力を持った姫サマが、どーして今になって出てきやがったんだよ」
「それだよ!なんでも、その姫がお偲びで城下にいた所に、隣国の人が不思議な力を使ってるところ見ちゃって、それで、姫ごと略奪しようと攻めて来たところを守るために、この国に嫁ぎに来たんだって!」
「衰えてるとはいえ、この国より力のある場所があると思えないしね」
「政略結婚って奴かよ。はっ!随分カワイソウな姫様だな」
「そんな情報も知らんとは、やはり間抜けな奴だ」
「んだとこら」
『姫様のご到着です』