• テキストサイズ

隣のトキヤくん

第11章 隣のトキヤくん⑪



「・・・と、確認も済んだし、これで大丈夫やな。明日はゆっくりでええで、皆しっかり休んでや!」
「はい、皆さんお疲れ様でした」
「「「お疲れ様でしたー」」




無事にコテージまで戻り、最後のミーティングをしたところで一日目が終了となった。
その後はシャワーを浴びて、寝る準備をし、同室の皆さんとおやすみをして布団に潜る。




・・・が、寝れない。




どうしよう。なんだか睡魔が全然来ない。
疲れは感じているものの、眠くなる気がしない。
こういう時は無理に寝ようとしても寝れない事が多い。気分転換に星を見ようと、部屋をこっそり抜け出した。



コテージは、結構音が響く。
寝ている人を起こさないように、そろりと階段を降りてリビングに向かうと、ガラス面越しに、誰か居るのが見えた。

同じように、寝れない人がいるんだろう。
ベランダで、星を眺めている姿。
邪魔して良いものか悩んでいたら、ギシッと、床が鳴った。その音に気づいて、人影がこちらを見る。



そこにいたのは、寿、先輩。



くすっと、笑ったような顔で、手招きしている。
断るのも何だし、余り足音を立てないようにベランダへ向かう。



「こんばんは、夜更かしの後輩ちゃん」
「っ...あ、あはは、こんばんは」
「いけない子だねぇ」



ま、僕もなんだけど、と、よく良く見れば、その手にはお酒の缶。未成年にはこっち、とカフェオレをくれた。ありがとうございます、と受け取ると、これで共犯だね、と不敵な笑み。



「べ、別に私はお酒じゃないから、悪いことしてないですよ」
「夜更かしは立派な悪いこと、でしょ?」
「もう子供じゃないんですー」
「そうだよねぇ。大きくなって...」
「親戚のおじちゃんみたいな事言いますね」
「そこはお兄ちゃんでしょ!?」


良かった。やっぱり、昔のまんまだ。
缶をごっつんこして、中身を喉に流し込む。昔話に花が咲いて、声の大きさに気をつけながらも、楽しい時間が過ぎていく。


/ 35ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp