• テキストサイズ

隣のトキヤくん

第7章 隣のトキヤくん⑦


車内はとても賑やかな時間だった。
近所のお兄さんが以前はこのサークルの元部長だったとか、この夏合宿をやり始めた立役者だとか、ほとんど彼の話題や弄りではあるが。


「ねぇねぇ、昔の元部長って、どんな感じだった?」


そう聞かれて、お茶を飲もうとしていた手が止まる


「...えーっと、昔ですか?」
「うん、元部長ってさ、やっぱり昔からこんな感じだった?」
「数字コンビが幼なじみなのは知ってたんだけど、まさか先輩もだとは...」
「いいなぁ!私もこんな可愛い幼なじみとカッコ良い幼なじみとお笑いお兄さんの近所に住みたかった!」
「僕ちんだけ悪口になってなーい?」

運転席から自称兄の声が飛んでくる。しっかり会話を聞いている事を確認して、言葉を選ぶ。


「あー、私が小学生の頃、下校中にお弁当屋さんに行くと、いつもこっそり、お弁当の唐揚げくれる、素敵なお兄さんでしたよ」
「口元が油まみれになるので、帰るとすぐにバレて怒られていましたが」
「2人でお店にきて、じーっと見るもんだから、可愛かったんだよ~。トッキーは昔から全然食べない子だったけどねぇ」
「ほとんど私が食べてたもんね」
「貴方は食べ過ぎでしたね」


仲良しだね~!とひと笑い貰い、親同士が仲良くて~と、何度目か分からない返しをする。
姉しか居ないから、ほんとに弟と妹が出来たみたいで、良く遊んでたんだよ~。と少し懐かしさを込めながら、そう言ってくれる。
そうですね、と後ろに座る彼は思い出してるのか、窓の外を眺めているようだ。

よく2人で遊んでいた所に、お弁当屋のお兄ちゃんが混ざると、かなり無茶な遊びをして、さらに楽しくなって彼を振り回していた記憶が多い。その説はすまないな。
若気の至りだ。と心の中で謝りながらも、今も変わらないか?とも思う。

/ 35ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp