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隣のトキヤくん

第5章 隣のトキヤくん⑤


ピロン


『楽しみだね!お菓子っていくらまでかな?』
『遠足ですか』
『だって書いてないもん』
『飴ぐらいにしなさい。チョコは溶けます』
『なるほど。じゃあ1000円ぐらいにしとく』


1000円分の飴を買うつもりだろうか。相変わらず、真剣に悩んでいるであろう彼女の姿が目に浮かぶ。何故ここまで食い意地があるのでしょう、育て方を間違えただろうか。うーん...とこちらも中々馬鹿な事を悩んでいるとは思いつつも、今日はもう遅いから、早く寝なさいと返事をうつ。自分も寝ましょうと準備を始めると。


ピロン


『おやすみなさーい!オカンその1へ』


オカン...その1...?
また、馬鹿な事を考えているのだろうとは安易に想像がつく。どう返信すべきか....


...タタタタ、ピロン


『おやすみなさい』


...深く考えないでおきましょう。付き合いのコツです。どうせどこかでその話題にはなるでしょうし。長年の経験を思い出し、さて寝るとしましょう。と電気を消す。クーラーを消し、窓を少し開け、扇風機のタイマーを入れれば、まだまだ寝苦しい夜をやり過ごすことが出来る。もちろん、彼女が泊まりに来ている時は、防犯面も考えて窓は締めている。

チリン、と赤い金魚が描かれた風鈴が鳴る。

京都へ修学旅行の時に、隣の彼女が可愛かったからと買ったものが、我が家に居る。先日彼女がわざわざ持ち込んだものだ。
1人だと寂しいかもしれないからおすそ分け!と勝手に吊るして行った。そもそも、私は1人が苦手ではない。どちらかと言うとゆっくり自分の時間を楽しめるので、1人が好きな部類に入るであろう。

寂しいのは、彼女の方だ。

賑やかなことが好きな性格と、静かなことが好きな性格。私達を足して割ったら丁度良いなんて、よく互いの親に言われていたものです。



チリン



新しい風を連れて、音色が響く。
まるで隣の彼女がいるようだ。もっとも彼女が連れてくるのは嵐と、騒音ですが。
クックッと、また失礼なこと考えてるでしょ!と怒られそうな内容に笑いながら、今度こそと横になる。
夢に彼女が出てきたら、からかってあげましょう。
そんな嵐も嫌いじゃない自分の元に、またチリンと音色が届いた。
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