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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第8章 「この夜だけは、嘘をついて」


***


廊下を抜け、学長室の前で伊地知が軽くノックする。
「連れてきました」――低く抑えた声とともに、重厚な扉がゆっくりと開かれた。


は一歩、遅れて足を踏み入れる。
革張りの椅子に深く腰掛ける夜蛾学長。
その向かいでは、五条が片肘をつき、長い脚を組んでいた。


夜蛾は手元の書類を静かに閉じ、無言のままを見据える。
その視線には、軽々に言葉を置くことを拒む静かな圧があった。



「……夜遅くに、すまないな」

「いえ……大丈夫です」



は小さく首を振り、背筋を伸ばす。


短い沈黙が落ちた後、夜蛾は机上のペンを転がし、その音がやけに大きく響く。



「査問会の日程が決まった」



一語ずつ確かめるように、言葉を置く。



「――二週間後だ」



再び沈黙。
学長の視線が、鋭くの胸の奥を射抜く。



「そこで、お前の……処遇について議論される」



その言葉に、の全身に緊張が走った。
指先がわずかに震えるのを感じながら、ゆっくり口を開く。



「……呪術以外の力を持つ者は、異端者として処刑される……そう聞いてます」



言葉を選びながらも、視線は逸らさない。



「――議論の余地もなく処刑なのでしょうか?」



一瞬の間。
五条は組んでいた脚をほどき、肘を膝にのせるように前傾し、をまっすぐ見た。



「上は、何がなんでもを処刑したいと思ってる」



低く、しかしはっきりと。



「――君が、悠蓮の器である限り」



あまりの理不尽さに息が詰まった。
自分が置かれている状況に押し潰されそうになる。
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