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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第30章 「善意の逆理 Ⅲ」


「還す? どんな綺麗な言葉で飾っても、真澄のやってることは、ただの復讐なんだよ」

「分かったようなこと言わないで。千尋の痛みも知らないくせに」



真澄の周囲で、足元の床がまたざらざらと崩れ始める。
ちらりと横目でを見ると、もこちらを見ていた。

言葉は交わさなくても、その一瞬で十分だった。


私が気を引く。
その間に、が。



「あと一人? そんなこと、私がさせると思ってんの」



真澄の目がこちらへ向いた瞬間、釘を打ち放った。
呪力を込めた釘が、一直線に真澄へ飛ぶ。



「それ、無駄だってまだわかんないの?」



釘が真澄に届く直前、やはり先端からぼろぼろと崩れていく。

でも、今はそれでいい。
真澄の意識が、私の釘に向けばいい。


私の反対側から、が低く駆け出した。



「……っ」



真澄が気づいたのは、ほんの一拍遅れてからだった。
の小太刀が、真澄へ迫る。


刃が届く。


そう思ったが、真澄の足元で崩れていたコンクリートの粉が跳ね上がった。

ざらり、と嫌な音を立てて、灰色の粉が空中で寄り集まる。
細かい破片同士が無理やり噛み合わされ、壁のような形を作っていく。



「!」

「っ……!」



の小太刀が、その壁にぶつかった。

ガリッ、と鈍い音がした。
完全に固まりきっていないコンクリートの壁が、刃を受け止めながら、ぼろぼろと崩れる。

その破片が、の手の甲を浅く、けれど長く裂いた。



「くっ……」



肌に赤い線が走り、そこから血がじわりと滲み出した。
血が指先を伝い、ぽたり、ぽたりと崩れたコンクリートの粉に落ちる。

灰色の粉が、そこだけ濡れて黒ずんだ。
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