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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第30章 「善意の逆理 Ⅲ」


は身体を低く沈め、一本目を躱す。
続く刃を小太刀で弾き、そのまま真澄との距離を詰めていく。



「っ……!」



真澄の表情から、わずかに余裕が消えた。

さらにコンクリートの粉が持ち上がり、二人の間に壁を作る。
真澄の意識が、完全にへ向いた。


今だ。


私は身を翻し、一気に駆け出した。



「逃がすわけないでしょ」



真澄が私の狙いに気づいて、背中にコンクリートの刃が飛んでくる気配がした。


ガキンッ!
硬いもの同士が激しくぶつかる音。



「野薔薇ちゃんには、指一本触れさせない!」



が私の背後に回り込み、刃を弾き落としていた。
病み上がりのはずなのに、その背中は絶対に退かないと語っている。


(背中は任せたわよ、!)


私は残っていた数本の釘を、指の間に滑らせる。


不純物が混ざれば、術式で物質を再構築することが難しくなる。
なら、屋上全体を『不純物』で満たしてやればいい。


私はありったけの呪力を込めて、ある場所に釘を打ち放った。


真澄の目が、釘の軌道を追う。



「……まさか」



狙ったのは、屋上の隅に立つ貯水タンク。


カンッ、カンッ、カンッ!
放った釘が、タンクの外壁に深く食い込む。



「勉強は大事なんでしょ」



真澄の顔から、初めて血の気が引いた。



「だったら、応用問題よ」

「やめ――」



真澄が声を上げた瞬間、指を強く鳴らした。




「芻霊呪法――簪(かんざし)!」




タンクに突き刺さった釘から、私の呪力が放たれた。
貯水タンクの外壁に亀裂が走り、次の瞬間、大量の水が轟音とともに屋上へ噴き出す。


凄まじい勢いで広がる水が、屋上の床を飲み込んだ。

真澄が操っていたコンクリートの粉。
それが大量の水と混ざり合い、ただの重たい『泥』に変わっていく。

空中に浮かんでいた灰色の刃も、形を保てずにボチャボチャと音を立てて崩れ落ちた。
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