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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第29章 「善意の逆理 Ⅱ**」


***



シャワーを浴びたはずなのに、まだ身体の奥に熱が残っている気がする。
先生に借りた大きなシャツは、袖も裾も余っていて。
枕にも、毛布にも、部屋の空気にも先生の匂いがした。

それだけで安心してしまったのか。
気づけば毛布にくるまったまま、いつの間にか眠っていたらしい。


うとうとしていると、コンコンとノックの音がした。



「……、入るぞ」



扉の向こうから聞こえた硝子さんの声に、びくりと肩が跳ねる。



「あ、はい……」



返事をすると、扉が静かに開いて硝子さんが部屋へ入ってきた。



「寝てたところ、悪いな」

「……いえ」

「気分は?」

「だ、大丈夫です……」



そう答えると、硝子さんはベッド脇の椅子に腰を下ろして、私に小さな錠剤と水の入った紙コップを差し出した。



「これは……?」

「アフターピル。避妊薬だ」

「……っ」

「五条から聞いた。さっきの“治療”のこともな。これを早いうちに飲めば、避妊できる可能性はかなり高い」



私は、手のひらに乗った小さな錠剤をじっと見つめた。


(……そっか)


さっきまで、先生と繋がっていて。
いっぱいの愛をもらって、あんなに幸せだったのに。

これを飲んだら、その証みたいなものがなくなってしまうような。
なんだか、少し寂しいような気持ちになった。


錠剤を見つめたまま固まっていると、硝子さんが私の手元へ視線を落とした。



「飲みたくなかったら、飲まなくてもいいんだぞ」

「……えっ」



顔を上げると、硝子さんが私の様子を窺うように見つめていた。



「飲むかどうかは、が自分で決めていい」



その言葉に、私は慌てて首を横に振った。



「飲みたくないとか、そういうわけじゃ……」



紙コップをぎゅっと握りしめて、視線を落とす。
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