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【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第29章 「善意の逆理 Ⅱ**」


飲まなきゃいけないことは、分かっている。
それなのに、すぐに口に運べない理由が自分でもうまく言葉にできなかった。


先生は、何かあれば責任を取ると言ってくれた。

その言葉は嬉しかった。
嬉しかったのに。

薬を飲んでしまったら、先生の覚悟を受け取らないと言っているみたいで。
飲まなかったら、先生に全部を背負わせるみたいで。

どちらを選んでも、先生を困らせてしまう気がした。



「。考えすぎ」



硝子さんの声に、私ははっと顔を上げる。



「顔に書いてある。飲んだら五条の覚悟を裏切るんじゃないかって」

「……っ」

「違うからな、それは」



どうして、そこまで分かるんだろう。
硝子さんには、私がうまく言葉にできないものまで見えているみたい。



「…………先生、もし何かあれば責任取るって言ってくれて」

「ああ。聞いてる」

「でも、私……先生を縛りたくない。困らせたくないんです」



特級呪術師で、五条家の当主で。
いつも色んなものを背負っている先生。
そんな先生の足かせにだけは、絶対になりたくない。



「それに……」



紙コップの中の水面が、小さく揺れた。



「まだわかんないんです。その……子供を……持つとか」



高校生の私にとって、それはあまりにも現実味がなくて。
想像もつかないくらい、大きすぎる話で。



「先生のことは好きです。大好きです。でも……今すぐ、そういうことを考えられるかって言われたら、分からなくて」



好きな人の子供。
もしできたら、嬉しいことのはずなのに。



「素直に喜べない私は……先生を、好きじゃないってことなんでしょうか」



先生の覚悟に対して、私は全然追いつけていない気がする。
そんな自分が薄情で、すごく中途半端な子供に思えた。


すると、ふわりと頭の上に温かい手が乗せられた。



「そんなわけないだろ」
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