• テキストサイズ

【呪術廻戦/五条悟R18】魔女は花冠を抱いて眠る

第28章 「善意の逆理 Ⅰ**」


『この学校のOBの窓から報告があって。最近、生徒が複数人倒れて病院送りになってるらしいんだよね』

『なんか呪いに当てられてるっぽいからさ。それもついでに探ってきてよ。倒れた原因と「Re:bloom」が繋がってるかもしれないし』



コンビニで牛乳買ってきて、みたいな軽さで言ったけど。
さらっと任務追加されてない?


そう思ったのは、私だけじゃなかったらしい。
隣から、ぎりぎりとペンを握りしめる音が聞こえた。
恐る恐る横を見ると、野薔薇ちゃんのこめかみに青筋が浮かんでいる。



『仕事増やしてんじゃないわよ! ていうか、そのケーキ私たちの分はないわけ!?』

『え、ないよ。これ僕のおやつだからね』

『……アンタ、マジで一回呪われろ』



怒りの矛先が、いつの間にか追加任務からケーキにすり替わっている。



「まあまあ野薔薇ちゃん。終わったら何か美味しいもの食べに行こう……っ」



私が慌てて両手を振って野薔薇ちゃんを宥めると、先生はやれやれという顔で大げさに首を振った。



『野薔薇〜、そんなんじゃ立派なお嬢様になれないよ?』

『あー、本当に腹立つわね。一口よこせ、この目隠し!』



先生は最後の一口を、わざと見せびらかすみたいに口へ運ぶ。
それを見た野薔薇ちゃんが、今にも噛みつきそうな勢いで怒鳴り散らしていた。


(本当に、大丈夫かな……この潜入)


私はその横で、ただ引きつった笑いを浮かべるしかなかった。









……あの時の野薔薇ちゃん、すごい顔してたな。


思い出したら、思わず小さく笑ってしまった。


(あ、まずい)


慌てて口元を押さえ、廊下の左右をちらりと確認する。
幸い、廊下を行き交う生徒たちはそれぞれの会話に夢中で、こちらを気にしている様子はなかった。
ほっと息を吐いて、抱えていた教科書をぎゅっと握り直す。


潜入のためにも、あまり目立たないようにしなきゃ。


(……よし)


私は私のできることをしよう。
今はとにかく、小さな噂の端っこだけでも掴まないと。


こっそり気合いを入れ直して、もう一度廊下を歩き出した。
/ 804ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp