第28章 「善意の逆理 Ⅰ**」
「例のサイト、『Re:bloom』のアクセスログを調べた結果……つい最近、その女子校に荷物が配達されていたことがわかりました」
「宛先が学校でしたので……被害者本人が受け取ったのか、他の誰かかはわかりません」
「……今までと決定的に違うのは、遺体から咲いていた花が、今回は『生きた人間』から咲いたということです」
改めて言葉にされると、その事実のおぞましさに背筋が冷たくなる。
死んだ身体に根を張って、心臓の奥から白い花が咲く。
それだけでも十分おぞましかったのに。
「いやー、ほんと悪趣味すぎてやんなっちゃう。内臓はもう原型留めてないし、死ぬまで相当のたうち回った跡があったよ」
先生が「おえー」とわざとらしく声に出して、心底嫌そうに顔をしかめた。
「あんな死に方、僕は絶対ごめんだね」
「……五条さん」
七海さんが、深いため息と一緒に先生を嗜める。
(生きたまま、身体中に根がはって……)
想像した瞬間、足元がぐらりと揺れる感覚がした。
ブルーシートの奥にいる女の子は、私と同じくらいの歳のはずだ。
どれだけ痛かっただろう。
どれだけ、怖かっただろう。
“花冠の魔導”に似た何かが、誰かを苦しめている。
その事実に、怒りが込み上げて指先が震えた。
沈黙を断ち切るように、七海さんが静かに口を開いた。
「いずれにせよ、あの『種』がまだ学校内に残っているとしたら、非常に危険です」
「学校内にまだ同種のものが残っている可能性も含めて、確認が必要ですね……しかし、現場はセキュリティの厳しい全寮制の女子校。我々が立ち入るわけにはいきません」
「だよねぇ。僕と七海がセーラー服着て潜入するわけにもいかないし」
「……五条さんだけ捕まってください」
「ああっ!? なんで僕だけなんだよ!」
七海さんの冷たい言い放ちに、先生が不服そうに声を上げた。
けれど七海さんは完全にスルーして、やれやれと呆れたようにため息をつく。
先生はぶつぶつと文句を言いながら、気を取り直したように伊地知さんへ顔を向けた。