第7章 「残るのは、君だけ」
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は部屋の隅で膝を抱え、額を押しつける。
頭の中で問いが際限なく湧き上がる。
(……今、何時なんだろう?)
(……私、一体どうなるの?早く、ここから出たいよ)
脈打つ鼓動が耳を叩く。
――みんな、心配してるかな。……先生も?
結局、またみんなに面倒かけてる。
(……自分で何とかしなきゃ)
胸の奥で小さく火が灯る。
それは震える足先までじわじわと広がり、足先に力を戻していく。
はゆっくり立ち上がった。
そして、ドアに駆け寄り、両手で叩きながら叫ぶ。
「誰かいませんか! 出してください!」
そのとき。
足音。低く、重い。
扉の向こうで影が揺れた。
先ほどのスーツの男が立っている。
「では、よろしくお願いします」
低く押し殺した声。
続いて現れたのは、肩で風を切るような歩き方をした、少し柄の悪そうな男。
「はいはい、支払われた分はきっちり仕事しますよ」
金属が擦れるような音とともに、ドアの小窓がわずかに開く。
その隙間から、男の目がゆっくりとをなぞった。
「……ふーん、これが処刑対象ね。まだガキじゃん」
冷たい視線が、まるで値踏みするように絡みつく。
背筋を伝う悪寒に、瞳の呼吸が浅くなる――。
(……処刑?)
心の中で言葉を繰り返す。
胸がざわめき、足が勝手に後ずさる。