第27章 「花の匂いは誰のもの**」
ガラッ!!!
教室の扉が、勢いよく開いた。
「おっはよー!! ――って、え?」
「ちょっと虎杖、あんた朝から声デカすぎ……って、は?」
教室に入ってきた虎杖くんと野薔薇ちゃんは、私たちを見た瞬間、ぴたりと動きを止めた。
(……あ)
目の前にいた伏黒くんが、弾かれたように飛び退いて。
野薔薇ちゃんは信じられないものを見るみたいに、私たちを指差した。
「……あんたたち。朝の神聖な教室で、何いかがわしいことしてんのよ」
「ち、ちげぇ!! 匂いを嗅いでただけだよ!」
伏黒くんが、ものすごい剣幕で否定した。
すると、虎杖くんは見ちゃいけないものを見てしまったみたいに、さっと口元を手で覆った。
「嗅いでたって……伏黒、そういう趣味だったのか!?」
「どうしてそうなるんだよ!!」
二人ともとんでもない勘違いをしている。
ようやく、自分がどれだけとんでもない状況を作ってしまったのかを実感した。
「え、えっと、違うの! 伏黒くんは何も……っ。私がお願いしたの」
慌てて弁解しようとしたけれど。
「お願いされたからって、あんなえっちぃ感じで嗅ぐ必要ないでしょ!!」
「どうしてもが首がいいって言うからだよ!!」
「このムッツリ野郎!!」
「の、野薔薇ちゃん、話聞いて……」
私のフォローも虚しく、朝から大混乱になってしまった。
このままじゃ、伏黒くんが誤解されちゃう。
「待って! 二人とも落ち着いてっ!」
たまらず大声を出すと、野薔薇ちゃんと虎杖くんがようやくこっちを見てくれた。
「私から『花の匂い』がするかどうか、確認してほしかっただけなの」
「……花の匂い?」
野薔薇ちゃんが、怪訝そうに目を細めた。