第26章 「愛ほど歪んだ呪いはない」
(何人の目にも触れさせてはならぬ、ね)
(ということは……悠蓮の記録を書き換えたのも靖厳なのか?)
一人の女をここまでして隠すなんて、異常すぎる。
どうして、そこまでする必要があった?
千年前の五条家当主、靖厳。
そして、魔女と呼ばれた悠蓮。
(……一体どういう関係だったわけ?)
答えのない疑問が、頭の中でぐるぐると渦を巻く。
「……靖厳様は」
「悟。お前と同じ、六眼と無下限呪術の抱き合わせを持たれた御方だった」
千年前の六眼と、魔女。
現代の僕と、。
「……はっ」
思わず、乾いた笑いが口からこぼれた。
「それで、『星は巡る』って言ってんの?」
じいさんは、悠蓮の墓石へともう一度視線を戻す。
「六眼、星漿体、天元。これらが決して逃れられぬ因果で繋がっていることは、お前も知っていよう」
「……六眼と『魔導』もまた、同じ因果の糸で結ばれているのだ」
そう言って、じいさんは苔むした石の台座を皺だらけの手で撫でた。
「……最近、ここが荒らされた」
「荒らされた?」
「ああ。結界が破られ……ここに埋められていた『あるモノ』がなくなっていた」
「あるモノ?」
「靖厳様が『いつか来るその時』のために、彼女の墓標と共にこの地に封じ隠しておいた呪物だ。……それが何者かに掘り起こされ、持ち去られていた」
「は?」
思わず、低く尖った声が出た。
「……なんでそのこと、当主の僕にすぐ報告しなかったわけ?」
鋭く睨みつけると、じいさんは苦々しく顔を歪めた。