第26章 「愛ほど歪んだ呪いはない」
映っているのは、の実家で見つけた写真。
とお母さんが退院した日の、病院の入り口前で撮られた一枚だ。
「この後ろのガラスに写ってるの。……あんただよね?」
じいさんはスマホの画面に目を落としたまま、わずかに目を細めた。
「たまたまここにいた、なんて言い訳は通用しないよ」
「……で? いつから目を付けてたわけ? に」
が生まれた、あの時から。
五条家が――いや、このじいさんが直々に彼女を監視していたのか。
じいさんは筆を硯の上に置き、ようやく僕の方へと顔を向ける。
深く刻まれた皺の奥にある瞳には、焦りも驚きも一切浮かんでいなかった。
それが余計に、僕の神経を逆撫でする。
「答えなよ。あんたは、をどうするつもりで見張ってたわけ?」
指先に、自然と呪力が集まりそうになるのを必死で押さえ込んだ。
答えによっては、 身内だろうがなんだろうが、ただじゃおかない。
じいさんは、僕の纏う冷たい空気を気にする素振りも見せず、低く息を吐いた。
「……見届けに行ったまでだ」
「見届ける?」
「六眼の因果が、どのような形で現れるのか。確かめる必要があった」
そこで一度言葉を切り、じいさんは僕の顔をじっと見据えて続ける。
「……悟。あの魔女には、もう関わるな」
「『はい、そーですか』って、僕が素直に頷くと思ってんの?」
僕は思わず鼻で笑って、わざとらしく両手を軽く上げてみせた。
――魔女。
その呼び方に、胸の奥がざらついた。
悠蓮のことは、呪術界でもほとんど記録に残っていない。
それなのにじいさんのこの、の中にいるものを最初から知っていたみたいな口ぶり。
(……そういうことね)
頭の中で、散らばっていたピースが音を立てて繋がっていく。